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2020-04

糖質制限ダイエット

 本年も残す所あと2週間となりました。年の瀬の慌ただしい時間をお過ごしのことと思います。皆さま一人一人にとっては、2016年はどんな年だったでしょうか?
 2016年は、申し上げるまでもなくBrexitにアメリカ大統領選と歴史に残る大きな変曲点でした。時代の変化の速さをまざまざと見せつけられました。民主主義自由経済のもと、時代の変化についていける人といけない人の格差が広がり、過去の資産を継承しているだけでは、過去と同じことをしているだけでは生き延びることができないことが顕著に表れてしまいました。Dトランプを後押ししたのも、キッシンジャー元国務長官という黒幕が操ってはいるものの、かつて中流で今は時代に取り残された白人男性層を中心として「かつての強いアメリカ」復活を望む声でした。ヒラリー・クリントンにとっては、この層に寄り添う配慮が少しあればまた結果は変わっていたのかも知れません。
 実質的に世界最大の社会主義国である日本も、国家が舵取りして社会主義を続けるのか、国民一人一人に生き抜けるだけのスキルを身に着けるよう環境を整えるのか、問われ続けています。老子が言ったと言われている故事にあるように、「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていく事が出来る」『授人以魚 不如授人以漁』にも通じています。もう、2000年以上も状況は変わっていないといえば変わっていないのですが、21世紀は全ての変化速度が一気に加速化されたために、一年一年と強いプレッシャーで問いただされているように感じます。

 最近、「糖質制限ダイエット」の文字を見かけることが多くなりました。ライザップも、食制限をダイエットの柱の一つに置いています。ラーメン好きはたまらず「麺抜き」をリクエストするようになり、ラーメン屋さんの方も「麺抜き」をメニュー化する潮流が生まれました。業界3位に転落したローソンは、小麦の外皮(ブラン)を使うことで糖質を大幅に抑えた「ブランパン」で、ファミマ+サンクス連合に抜き返しを狙っています。驚異のリピート率45.3%(2015年頃のデータのようです)を誇り、顧客の囲い込みに貢献しています。
 WHOもごく最近、10月11日に「糖分が多い清涼飲料水に20%異常の課税をすれば、肥満や生活習慣病を減らせる」とのレポートを報告し、世界へ呼びかけました。この事に我が国では一般市民は大して反応はないのかもしれませんが、食品メーカーへのインパクトは大きく、糖質制限食品ブームに拍車がかかった感もあります。
 WHOによると、世界で糖尿病の患者数は1980年に1億800万人だったが、2014年には4億2200万人、と倍以上に増えているらしい。その上で、糖分入り飲料が肥満や糖尿病に苦しむ人々を増やしている要因と報告書の中でも指摘しています。糖分が多い清涼飲料水への課税については、既にメキシコ、フランス、ハンガリーなどで導入されており、イギリスやフィリピン、それに南アフリカも導入を検討しているところのようです。WHOは、「すでにメキシコでは、糖分の多い飲料に10%課税することにより、消費を6パーセント減少させた」と指摘していますが、効果は一時的でまた消費も回復しているようです。一方、アメリカの清涼飲料水メーカー等は、当然ながら「健康対策としての課税について「根拠のない差別的な課税」」だとして、反対運動を繰り広げる訳ですが、世間の注目を集めておいて新たな商品開発を目指しているのでしょう。
 またまた余談ですが、実は我が国でも大正15年(1926年)に清涼飲料税が新設された歴史があります。その時の清涼飲料税の対象となる清涼飲料水は、「炭酸ガスを含んでいること」が条件でした。その背景としては、当時のサイダー類の消費拡大が挙げられます。当時のサイダー類(サイダー、シトロン、ジンジャエールetc)は、高級嗜好品と考えられたためだったようです。


# 現代人の肥満率
 アメリカでも、小学校の近くにマクドナルドがあると肥満率が高まるというデータもあるように、ジャンクフード店や食品会社が売り上げを増やそうと虎視眈々と狙っている「誘惑の多い」環境に我々はさらされています。
 厚生労働省が毎年行っている国民健康・栄養調査の2010年報告書によると、女性では低所得層の方が肥満者の割合が顕著に高くなっています(図)。カロリー制限の意識、実行力、それとアンバランスな食事といったところが原因に挙げられるのでしょう。この報告書では、低所得層の方が、朝食を抜く、野菜摂取量が少なく、運動習慣もなく、喫煙率も高い、といった傾向がデータに現れています。
 このデータでみても、男性は3人に1人、女性は5人に1人はBMI25以上の肥満に該当しているようです。また、運動習慣のない人は、3人に2人にも上るのが、現代の市民生活の姿なのです。
肥満人口率

# では、何故肥満率が高まったのでしょうか?
 生産性の向上により、世の中にあふれる食品の種類も量も増えた要因もあるでしょう。食べ物の価格低下も大きく影響しているでしょう、フランス革命時代1日の労働の対価はフランスパン1本でした(今の価格なら300円?!)。肉体労働を機械に取って代わられ、知的労働にシフトしたこともあるでしょう。こうして、動くことが少なくなり、食糧は安価で大量に入手できる時代になったのです。
 ここでは、職業別カロリー消費のデータを参照してみましょう。イギリスのデータなので、分類・切り口も我が国とはやや異なる面があります。

(表)職業別カロリー消費量ランキングです(カッコ内は1時間の消費カロリー)。
1位 林業 (1088キロカロリー)
2位 プロのダイバー (748キロカロリー)
3位 消防士 (748キロカロリー)
4位 トラックドライバー (374キロカロリー)
5位 馬のグルーミング (340キロカロリー)
6位 建設業、道路建設 (340キロカロリー)
7位 工作機械、パンチプレス操作 (272キロカロリー)
8位 ダンサー (258キロカロリー)
9位 果樹経営、果物収穫 (238キロカロリー)
10位 体育教師、スポーツインストラクター(204キロカロリー)
11位 マッサージ師 (204キロカロリー)
12位 立ち仕事全般 (170キロカロリー)
13位 大工 (170キロカロリー)
14位 清掃などの中労働 (136キロカロリー)
15位 トイレ掃除などの軽労働 (102キロカロリー)
16位 バーテンダー (88キロカロリー)
17位 洋服仕立て業 (68キロカロリー)
18位 農業、家畜の飼育などの軽労働 (68キロカロリー)
19位 工事現場の交通整理 (68キロカロリー)
20位 タイピスト (34キロカロリー)

参考: Are you burning calories at work? How typists use just 34 per hour – but massage therapists burn SIX TIMES as much

 このデータをみてみると、事務作業は、肉体労働に比べて、消費カロリーは、1/5~1/10 であることが解ります。考える作業でも脳はかなりの大食漢なのですが、1時間当たり40~50kcal もあれば知的作業は十分できるようです。脳は体重の約2%を占めるに過ぎないにもかかわらず、体が消費している全エネルギーの約20%を消費していること、その約80%が、(脳の)休息時に行われている神経活動、Default Mode Network (DMN)によって消費されていることは、本年10月25日のblog 「脳の集中力も疲れも、瞑想も、扁桃体が鍵を握っている」でもディスカッション致しました。

# では、どのくらい糖質を摂取するのが良いのでしょうか?
 脳は基本的にブドウ糖しかエネルギー源として受け付けません、贅沢にできています。例外として、ケトン体を燃やさざるを得ない糖尿病の人や、脂肪分に偏った食事習慣をもつエスキモー等では、脳もケトン体を燃やしてエネルギーを得ています。
 肝臓と筋肉のグリコーゲンを消費し尽くすと、ブドウ糖の供給減が枯渇するので低血糖になり、思考能力も低下してしまいます。
 またまた余談ですが、マラソンでは約35km 付近でグリコーゲンを使い果たし自分の身体を食べながら(筋肉を取り崩しながら)走るためのエネルギーを得ています。「ランナーズハイ」が顕著になるのもこのタイミングです。脳内麻薬(モルヒネ受容体の本来のリガンド)であるβエンドルフィンの分泌が高まり多幸感を感じる訳ですが、低血糖により脳が障害受けないように自衛するためのメカニズムとしても働いているようです。フルマラソンを35kmにルールを変更すると、これまでとは全く異なる身体能力で争われる競技に変わることでしょう。
 血糖を維持し、脳に必要なエネルギー源を供給する為には、一食当たりの糖質 20~40 gr、一日量 70~130 gr にコントロールするのが良いようです。最初に一騎に糖質減量して、効果を実感して、やる気をだしてから、少し緩めて維持するのが、賢いやり方と思います。糖質ダイエットだけではありませんが、やはり「効果を実感できる」ことは習慣維持にとって、とても重要な要素です。
 一日130gr とすると、糖分による摂取エネルギーは 4.2kcal/gr x 130 gr = 546 kcal になります。一日に必要な 2000kcl の内、脳が消費するといわれている20% 400kcal に比較して、良い対応になっているように思います。脳以外でも、糖質/ブドウ糖を消費しますので。

# では、いったい我々はどの程度カロリー摂取しているのでしょうか?
 元来、必要な摂取量は、我々で2000kcal ~ 2200kcal 程度でしょう。国、人種、性別、職業によっても異なってきます。
 FAOSTATのデータ(2014年8月11日更新)によると、現代の日本人の摂取量が約2,695kcal となっています。Food and Agriculture Organization による世界の食料・農林水産業に関するオンライン統計データベースです。欧米人だと、3500kcal 前後も摂取しています。国別1位は、オーストリアの3,785kcal でした。数字だけではイメージしにくいでしょうから、こちらをご参照ください。

一日のカロリー摂取量を大比較!世界のみんなは一日何カロリー食べてるの?

 この写真でみても解るように、我々でも油断して3食満腹にしているとすぐに4,000kcal に達してしまうのです。こうして必要量よりも過剰のカロリー量を摂取しているのが実態です。その結果、厚生労働省の「2012年国民健康・栄養調査結果」のデータでは、糖尿病が強く疑われる人 950万人、糖尿予備軍 2050万人、同省の「患者調査」で糖尿病とラベルされた人が316万人と、糖尿病患者がどんどん増え続けています。もはや成人男女の5人に1人が予備軍です。どこまでが「予備軍」と定義するかによって、データは変わってきますが、中年以上になるともう2人に1人になるのではないでしょうか? 医療費削減に向けて、対策が求められます。

# 最後に、ダイエットで欠かせない運動について
 摂取カロリー数を減量した時にも、身体はまず体内の糖質から消費しようとします。その次にアミノ酸(筋肉を分解します)、そして最後に脂肪の順です。ダイエットしてじっとしていると、筋肉が減っていくという事態に陥るのです。50歳を超えると、この傾向が顕著に現れます。筋肉量が減少するのですが、脂肪は減らない為、外見上は大して変化はなく、でも体重が落ちてゆきます。痩せたといって喜んでいると、筋肉がなくなっているのです、その結果基礎代謝も落ちて更に脂肪が燃えにくい状態になってゆきます。
 皆さまも、体重を減らそうとするときは、運動しましょう。脂肪は、運動を始めて20分ごろから燃え始めます。そのように代謝のスイッチが順にONになってゆきます。Warming up を15~20分程度やってから、脂肪を燃やせる体勢を整えてから、運動強度を上げると脂肪を効率よく燃やせます。スポーツジムのスタジオ・プログラムも、まずこのようにデザインされているのです。
 運動できなくても、筋肉に等長緊張が掛かるように手足に力をこめる習慣が役に立ちます。

今回のテーマは如何でしたでしょうか?
あちこちで話題に上るものの、なかなか実行できる決心がつかない、習慣が変えられない領域と思います。今回のディスカッションが少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで、お読み頂き有難うございます。
慌ただしくも、楽しいクリスマス&年の瀬になりますように、お祈り申し上げます。




西洋医学 vs 東洋医学の考え方

 皆さま、いつも本ブログをご訪問頂き、誠に有難うございます。
 クリスマスのオーナメントもピークを迎え、街のあちこちには新年の飾りから、年の瀬・正月を彩る保存食材など年の瀬を感じさせる品々が並ぶようになって参りました。皆さまも慌ただしい時間をお過ごしのことと思います。
 今回は、「KKロングセラーズ 空腹療法 石原結寛」にきっかけを得て、「自然治癒力を高める」東洋医学の発想について考えてみたいと思います。Dr石原結寛は、これから出てくる「血液の汚れ」と「低体温」を万病の元と重視しておられ、自然治癒力を低下させるものと捉えておられます。その結果、自然治癒力を引出そうという発想で、空腹療法を提言しておられます。
 アンデス原産のトマトが、乾燥した土壌を維持することで、少しでも水分を吸収しようと「ひげ根」を伸ばし、美味しくなる、とその能力を120% 引き出す栽培方法を進めるのとどこか似ていますね。
 
 西洋医学は、約400年の歴史を持ち、解剖学から端を発しています。戦争、感染症の流行が起こるたびに医療は進歩していきました。解剖による研究で、外傷や感染症を治す医療であるため、外からの原因には強く人間の内側から起こってくるものの理解には弱いといった特性をもっています。
 これに対して、そこまで科学が成熟していなかった太古の時代から始まった経験の実学である東洋医学は、西洋医学は外傷・外科手術に強いのに対し、人間の内部環境を整える対応に強いようです。
東洋医学では、「万病一元、瘀血(血液の汚れ)から生ず」と考えます。例えば、発疹は血液を浄化する反応であり、炎症は老廃物の燃焼処理と理解されます。動脈硬化や高血圧も、汚れた血液を血管の中で沈着させる浄血反応の結果である、ととらえます。ガンでさえも汚れ血の液の「浄化装置」であると理論付けられています。
つまりは、「血液を汚さない」生活習慣を心掛けることが、病気の予防に繋がるという理解にも繋がるのですが、しかして現代人の生活では血液を汚す生活習慣を実行している人が圧倒的に多いようです。その結果、昭和47年ごろには約3万人だった糖尿病患者は高度成長期に一気に増加し、40年後の平成24年では約700万人にまで急増しています。勿論、疾患の認知度が高まったことも、患者増加の重要な要因でしょう。 糖尿病予備軍は、2,000万人にも上るようです。厚生労働省「平成26年患者調査の概況」で生活習慣病のデータを確認すると、糖尿病の患者数 950万人、年間医療費 1兆2,076億円、高血圧症は患者数 1010万人、年間医療費が1兆8,890億円、高脂血症が患者数 206万人となっています。現在の高校生の4割~5割が生活習慣予備軍、とも指摘されています。

一方で、西洋医学における分析概念では、血液を浄化する生体の自然治癒力を「病気」と位置付けており、その反応を抑え、切除し、焼きとるという「治療」を行ってきました。こうした治療は、東洋医学の概念からすれば「逆療法」であり、一時的な症状改善を期待する「対症療法」に過ぎず、自然治癒力を低下させてしまい、むしろ血液を汚してしまう結果になる、とも考える事ができるでしょう。
 我が国にオランダ由来の西洋医学が紹介されたのは明治維新の直前、それまでは東洋医学の考え方で病気、体調不良に向き合っていました。考えてみると、昔の病気はその多くが「感染症」でした。これに対して現代の医学では、抗生物質の発見によってこれまで制御不能・自然治癒力任せのところが、制圧可能と世界が一変しました。この新しい条件のため、現代社会で患者数が最大な疾患は、生活習慣病です。メタボリック症候群患者とその予備軍では免疫力も低下しますので、癌もその結果の一つとしてとらえることもできます。ガン細胞は、毎日数百という数が、あなたの身体でも私の身体の中にも、癌関連遺伝子の突然変異体として発生しています。しかし、これが増えていかないのは、免疫細胞によって除去されているからで、この自然免疫力が低下すると最初の癌細胞を拿捕できなくなって増殖を許してしまうのです。
 感染症においては、病原菌(細菌、ウィルス、カビetc)との戦いの結果は、どっちが強いかで相対的に決まってしまいます。「自然治癒力」を高めても力及ばない、対処不能の事もある、東洋医学の一番弱い領域だったのです。

 東洋医学では目の前にいる患者さんのもっている症状を、(患者さんの)治癒能力を高めて改善することがターゲットになります。普段の診療においても、患者さんが「薬はできるだけ飲みたくない」とおっしゃられるのは、こういった違いを言葉で表現できなくとも直感的に感じておられるのかも知れません。
 しかし、この「治癒能力を高めて改善する」概念そのものがブラックボックスであるため、明治以降の歴史の中で東洋医学は西洋医学の後塵を拝してきました。何か昔の非科学的とも思える表現で、人間の体と状態を理解して、薬物療法の体系を作りあげているように見られていました。今のデータ・根拠を重視する EBM、Evidence-based Medicine の時代に評価されないのです。「治癒力」をどのような指標で表現するのか、我々の智恵がまだ及んでいないところに原因があります。ここの「治癒力」を表現できるパラメータが見えてくると、西洋医学と東洋医学の手法の協業も進み、治療学にも新しい時代が訪れるように感じます。
 実は、現代医学の薬物療法も、最終的には身体の「自然治癒力」頼みなのです。つまり、今の薬物療法は、悪い所があってバランスを崩していたら、薬によって反対側も下げてバランスを取る、症状(身体の反応)を緩和して、患者には少しなりと楽に感じてもらい、その間に身体の「自然治癒力」を期待する、というプロセスなのです。薬が、医者が「患者を治す」のではなく、症状を緩和している間に、患者に自然に治って頂く、その足をひっぱっている要因を少しなりとも緩和しているのです。薬や医者が病気を治しているのではないのが実態なのですが、現実には「よくなったでしょう」とドヤ顔している不謹慎な医者が結構多いと思いますが。。。

今回のテーマは如何だったでしょうか?
いつか、「東洋医学のアプローチ」を新しい指標で評価できる時代がくるといいですね。課題の整理だけで、解決にはちょっとギャップが大きいという内容で、ちょっと不完全燃焼のように感じられたら申し訳ございません。

最後までお読み頂き、感謝申し上げます。
皆さまに少しでも役に立っていれば良いのですが。
もう、冬至も目の前です。冷え込みも厳しい中、お風邪など召されないよう、乾燥にはくれぐれもご注意ください。ウィルスは湿度<40%で飛散します。




フォッグの行動モデル - どうしたら行動に移せるか

 「11月なのに雪」の日には驚かされました、歩道の雪を集めた片隅にまだ名残が見られ、いよいよ冬という感が漂っています。いつも、本 blog を訪問下さり、有難うございます。今回は、この前 BJ Fogg's Behavior Model に久しぶりに再会し、以前とはまた変わって見えた所がありましたので、話題に取り上げてみたいと思います。

 どうして、違って見えたのか?といいますと、丁度昨日のFBの投稿にあります。
 「現代の多様な組織に求められるリーダーは「優しい頼れる兄貴」のような存在です。
彼のプロジェクトに参加していると、困難なミッションでも、知らず知らずのうちにスムーズに事が運び、気がつくと成功裏に完了している。
 もちろん、大難局にぶち当たり、チームの結束が高まりパワーアップしただの無数のパターンがある。正解など、前もって決まっていない」
 行動に移せるリーダー/指導者とは? 考えてみたいと思います。

 まず「フォッグの行動モデル」のご紹介をさせて下さい。行動を起こすには、モチベーション、能力、きっかけの3つ要素が同時に集結しなければならない、ということを示しています。
 ある 「きっかけ」が生じた時に、「モチベーション」と「能力」が伴わないと行動が起こらない、という訳です。

BJ Fogg's Behavior Model
Fogg の行動モデル

 たとえば、電話一本かかってきた状況を考えてみても、恋人との電話でしたら、「モチベーション」は高いでしょうから、たとえデートに行くお金がなくても(「能力」が低くとも)、電話にはでるでしょう。Trigger がaction を引き起こすことができました。嫌な仕事のクレームでしたら、「モチベーション」は下がるでしょう。対応できる準備「能力」ができていれば、電話に出るでしょうけれども、準備ができていなければ、電話に出たくなくなってしまいます。もっとも、信頼関係という「モチベーション」から、嫌々ながらで電話に応ずるかも知れませんが。
 このモデルでは、能力、モチベーション、きっかけの3つの要素が適切に組み合わさった時、人が行動を起こすと考えられています。
 では、「適切に」ことはどういうことか、考えてみましょう。

 プロ/熟達者の場合は、「能力は高い」ところにあります。図の easy to do です。能力が高いがゆえに、少々モチベーションが低くても、行動に移せます。また、きっかけ/動機が低くても、上手くこなすことができます。1つの要素である「能力」が、行動を起こす/やり遂げるための他の2つの要素「モチベーション」と「きっかけ」のハードルを下げている、とも考えられます。
 初心者の場合は、図の hard to do で示される「能力は低い」ところにあります。余談ですが、 do と act は意味が異なるのですね。「モチベーション」と「きっかけ」が高くないと、行動には移せないと考えられます。実際に行動に移してみると、初心者では失敗を繰り返すため、「モチベーション」が下がって行動に移せない状況に転ずる訳です。
 さて、このように初心者がモチベーションを下げた時に、熟達者である「指導者」は何ができるでしょうか? 残る要素である「きっかけ」をより魅力的なものに変える、ということでしょう。目の前に人参をぶら下げるのか、より低い目標設定により初心者でも「到達できる」と思えるよう、「きっかけ」を調整します。結果、アクションにつながり、成功体験を積むと、「能力」の向上につながって、更にアクションを起こしやすくなります。

 実際には、どのように対応しているのでしょうか?
 確かに、設定目標を低くして「きっかけ」を調整します。ここで問題になるのは、「できない理由」は千差万別、一人一人異なります。相手が何で躓いているのか、本当に理解できているかが問われます。普段からよくコミュニケーションが取れているかどうか、ということがポイントになります。実際、コミュニケーションをとると、課題や現在直面している問題点、どうやって対策しているのか、というったことをこまめに話すことになるので、「きっかけ」を下げるよりも、いつのまにか「能力」が上がっている、ということにもなるでしょう。
 もう一つよく見かけるのは、「能力」を上げようとする指導者による教育です。これがなかなか上手くいかないのは、「名選手かならずしも名監督ならず」という格言が良く物語っています。なぜ上手く行かないのか?一つは、自分の成功体験の押し付けになっているからでしょう。Player も変われば、状況も変わっているので、そうすんなり再現できるものではありません。もう一つは、ふつうの人が躓いている所を、才能のある player が難なくクリアできてきた事実です。プロはしばしば「何故生徒ができないのか」が理解できないものです。ミスタープロ野球長嶋茂雄氏が「球がこうスッと来るだろ」「そこをグゥーッと構えて腰をガッとする」「あとはバァッといってガーンと打つんだ」と、少年野球で指導していたエピソードが典型です。

 「伝えることは、(相手のことを)理解すること」と言われます。前のパラグラフにも、コミュニケーションの内容を「課題や現在直面している問題点、どうやって対策しているのか、というったことをこまめに話す」と述べましたが、「能力」を高めるにも、「きっかけ」を設定するにも、普段からこのようなコミュニケーションを通じて相手の事を理解する/共感する/同化することが、本質的に問題になるようです。

 今回は、いかがでしたでしょうか?
最後まで、目を通していただき、感謝です。



21世紀の教育とは

学校で学んだことを一切忘れてしまった後になお残っているもの、それこそ教育だ。(A Einstein)
 今回は、このアインシュタインの言葉を元に、現代に通用する部分と時代に合わせて必要とされる所を考えてみたいと思います。
学校教育とは、人生を生き抜けるすべを与えることであって、(指導要領に事細かに書かれているような)知識を教えることではない事は、このblog をお読み頂いている皆さまにとっては共通の認識と思います。親も、子供の一生を守り通してあげることはできない事実があるため、子供には生きぬいていける力量が育つように見守ってあげることが求められているでしょう。
 老子が言ったと言われている故事にあるように、「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていく事が出来る」『授人以魚 不如授人以漁』にも通じると思います。

 21世紀的には、「釣り方」「採り方」といった過去の経験の蓄積を伝授するのではなく、「その人の中に持っているモノ」を引出してあげる事によって、現代に通用する新しい、一人一人に合った「釣り方」「採り方」が身につくといえるのではないでしょうか。
 とはいっても、現在までに確立した「釣り方」「採り方」は、過去の失敗の山を築き上げた結果、時代の荒波を乗り越えて生き残ってきた最善策なのです。浅はかな(?)思いつきで変更しても、just idea は過去に誰かがやってみて上手く行かなかった例をなぞっているに過ぎず、本人は改善を目指していても実際には改悪にしかなっていない、という例を実に沢山見かけます。「他人のマネができるのが秀才、他人のマネもできないのが凡才」と言われるゆえんです。他人のマネを繰り返し、現代に生き残っている/確立した「釣り方」「採り方」から、その本質と発想を学び取り、未知の状況にも対応できるようになり、自分流を確立するのが、守破離の教えです。守破離についても本 blog で取上げたこともございますので、よろしかったらご参照ください。

型を体得しないと「型破り」にはなれません

 過去と同じ事が将来にも起こる訳ではありませんので、過去の流儀・対応をそのままなぞるのでは、過去の成功体験を再現できずに終わってしまいます。緊急事態・未知の状況に対応するためにも、過去の成功例・失敗例から学び、守破離を目指してゆく事が重要になります。学ぶことなく「守」を繰返すだけでは、学んだことにもならないのです。
 過去の確立した「釣り方」「採り方」を学ぶだけでも、「1万時間の法則」と言われます。素人からスタートしてプロの域に達するには、1万時間に及ぶ練習・経験が必要ということです。分野を問わず。1万時間というと、毎日3時間の練習を365日通して維持すると、約1000時間という計算になりますので、これを10年間継続して初めてプロの域に達するということです。
 確立した「釣り方」「採り方」をマスターし、その上で、現代の環境変化に即応して、新時代領域のノウハウを取入れたり、境界領域を開拓しながら、そこに通用する21世紀の「釣り方」「採り方」を生みだしてゆく、力をつけるのが21世紀の教育の目的になってくるでしょう。守破離の「離」を目指すのが、教育の目的とも換言できるのではないでしょうか。

 未知の領域であり、誰もが経験したことのない部分が含まれます。そして、「その人の中に持っている能力」を発揮しない限り、未経験ゾーンで生き抜いてゆく事はできないでしょう。如何に引出してゆける環境を整えるのか、またどれだけ失敗を許容できるのか、本人にとってはどれだけ失敗から学べるのか(何かを学ぶ限り、「失敗」ではなく「経験」です)、個人にもチーム・組織にも忍耐と明確なビジョンが求められます。
 老子の時代・紀元前6世紀から2600年を経て、21世紀には「釣り方」「採り方」を教えるのではなく、自分で考え抜いてもらう時代になってきたようです。そこには、基礎となる知識と智恵も必要になってきます。A.Einstein の「学校で学んだことを一切忘れてしまった後になお残っているもの」を考えても、自分で考え抜けるために必要となる知識・智恵も時代と共に加速度的に増加してきているのも、また事実です。
 知識、直感、感性、創造性、忍耐力、多角的な能力を兼ね備えている事を要求されているのが現代に生き延びてゆくことの難しさとも言えるのではないでしょうか。
 やはり春秋時代に、孔子が「学びて思わざればすなわちくらし、思いて学ばざればすなわちあやうし」『子曰、学而不思則罔、思而不学則殆』という強烈な一言を残してくれています。勤勉に知識を蓄積しても、大志を抱く/世の中に貢献してゆかないと、なおも「愚鈍」でしかないのですが、野望だけ大きく学問としても倫理的にも力を蓄える裏付けがないとこれほど危険なことはない(本人にとっても)、身に積まされます。

最後まで目を通していただき、有難うございました。
今回は、いろいろな先人たちの名言を結びつけることになりました。少しでもお役に立てれば、幸いです。


ボジョレヌーボの季節です

 ボジョレヌーボの解禁日がやってきました。
 毎年11月の第三週目の木曜日、今年は先週11月17日でした。さて、著者はワインを語れるほどのワイン通では残念ながらありません。ワインは身体に良いとされているのは、何故かを考えてみましょう。
 OECDの中で心臓病のリスクを見てみると、例えば虚血性心疾患死亡率は低い方から日本、韓国に次いでフランスは第三位にはいっています。あの体格で、あのお腹で、心臓病リスクを下げているのが「赤ワイン」なのではないか、とも噂されている訳です。
(図1)
心疾患

 では、なぜ赤ワインがこんような効能を持っているのでしょうか?その理由がポリフェノールにあるのではないか、と常々噂されてきました。
 そこで、今回は季節柄、ポリフェノールについて考えてみたいと思います。
 先に結論を述べておくと、ポリフェノールはラジカルトラッパー(活性酸素 O2- をトラップ・捕捉する)として身体に役に立っています。ポリフェノールは野菜・木の実を食べると沢山摂取できます。ポリフェノールを摂るためにワインを飲んでアルコール摂取量を増やすよりは、有色野菜を食べましょう!

# ポリフェノールとは?
 フェノールは、中学の化学で学んだように、ベンゼン環に水酸基が一つついた構造をしています。
このベンゼン環が複数(Poly-)結合した構造で、水酸基(-OH) がついた構造をしている化合物がポリフェノールということになります。
(図2) ポリフェノールとは何か
ポリフェノール

 生体に含まれるポリフェノールには多くの種類が存在します。構造式で見てみましょう。
 ベンゼン環が複数見られますが、植物の細胞ではフェニルアラニンから合成されたクマル酸CoAにマロニルCoAが重合してできるカルコンから合成されています。ポリフェノールは、ラジカルトラッパーとして生体内では役に立っています。ラジカルトラッパーとして、C=C の二重結合の構造が活性酸素ラジカル(O2-)のターゲットになる訳です。
(図3)りんごの主なポリフェノール成分の構造式
ポリフェノール構造式

 何故、植物はこんなラジカルトラッパーをわざわざ自分で合成しているのでしょうか?それは、光合成の過程で酸化還元反応を繰返していると、電子がO2にぶつかって/1電子還元して、活性酸素(O2-)というラジカルを生成してしまうからです。ラジカルは、有機物/生体物質のC=C の二重結合をターゲットにして酸化してしまいますので、植物は自分自身を守るすべである「抗酸化物質」を自分自身で合成している、ということでしょう。
 因みに、動物では、細胞内のミトコンドリアでの電子伝達系でO2を electron acceptor としてATP合成を行う(植物にも勿論存在しているのですが)際に、漏れ出てきた電子とO2が反応して活性酸素(O2-)は生成されています。
注) ラジカルは、radical に反応する「反応性の高い物質」という意味です。電子のlone pair が存在するので、1秒もかからずに他分子と反応し、lone pair を解消します。

# ポリフェノールの種類
 大きく、モノマーと、幾つも重なって結合したポリマーに分かれます。
(図4)ポリフェノールの分類
ポリフェノール分類1
ポリフェノール分類2

 モノマーの方が含有量は多いのですが、どのような食物 - これは人間の都合で見た呼び名ですね - 植物に、どのようなポリフェノールが含まれているのかを見てみましょう。フラボノイドは、図2のアントシアニジンの構造を骨格としています。Flavo- と名前はラテン語の flavus (黄色)に由来していて、植物では実や葉の色をつけている成分なのです。フラボノイドが分解されたアントシアンは、落ち葉の赤い色です。
 ということで、フラボノイドが有色野菜に沢山含有されていることが理解できると思います。そこで、含有量で見てみると、こんな感じになります。
(図5)食べ物中のポリフェノール含有量
ポリフェノール含有量1
ポリフェノール含有量2

 噂通り、赤ワインに沢山含まれていますが、コーヒー、紅茶、緑茶といった飲み物も負けてはいないようです。下の方が、野菜・果物類に含まれるポリフェノール量です。こうやって並べてみると、お茶やワインで大量に含まれているのは、ノンフラボノイドのコーヒー酸やタンニン酸ということになりそうです。元来、抗酸化作用の強いフラボノイドは、植物本体に含まれるように思えてくるデータです。
 少し脇道にそれますが、最近では、アセロラ、アサイー等の実のポリフェノール含有量が、このコーヒー、赤ワインレベルかそれ以上、とも宣伝されています。ここまで見てきたように、ポリフェノールといっても、フラボノイドなのかタンニン酸なのか?抗酸化作用の評価はどうなのか?といった質的な問題も残っています。ここは、可能性があるというレベルに留めておきましょう。

# 実際のラジカルトラップ(捕捉)能力
  ここまでで、どんな物質がどの位の量含まれているのかは、イメージできたと思います。では、実際に機能しているのでしょうか?我々が食べて、消化吸収というプロセスを経て、どのような形で血中に入り、細胞に到達し、どこでどのように作用しているのでしょうか?
 そこは、調べてみても不明でした。
 ポリフェノールの活性酸素捕捉(ラジカルトラップ)能をみても、信頼に足るデータはなかなか見つかりませんでした。実際、個体である植物/食べ物に含まれる活性を測定しようとすると、抽出するプロセスが入ってくるので、信頼のおける測定系を組むのは難しいことは想像に難くないところです。

 最後に、一体ポリフェノールは、どの程度摂取するのが良いのだろうか、考えてみましょう。ネスレ日本が、2010年10月1日の「コーヒーの日」にあわせて、調査会社のイードとともに実施した「日本人とポリフェノール」に関する調査結果を発表しています。コーヒーは、赤ワインに次いでポリフェノール含有量が多いので、ネスレとしても力が入ります。
 それによると、ポリフェノール理想摂取量は約1500mg、実際の日本人の1日のポリフェノール摂取量は平均1010mg と目標値の約2/3 に留まっていました。図5のデータは、飲料だと100ml当たりの含有量(mg)になります。ワインやコーヒーを700ml /日 飲みましょう、ということになるのですが、「現状よりも500mg 摂取を増やす」と考えるとコーヒー250ml 少し多目の1杯が必要、という解釈もできそうです。
 ここでも、ポリフェノールの質も問題になるのでしょう。タンニンよりは、フラボノイドの方が活性酸素捕捉能は高いように見えますので、理想摂取量といってもタンニンとフラボノイドでは変わってくるでしょう。ラジカルトラッパーの代表格、ビタミンCやビタミンEの摂取量によっても、ポリフェノールの理想摂取量は影響を受けるように思います。ということで総合的には評価が難しいので、まずは野菜を沢山摂取するのが身体には良い、というごく当たり前の結論にしかならないようです。

 ポリフェノールについて、少し理解が進みましたが、他のビタミン類も含めて総合的に考えるのは結構難しい話です。虫の眼に留まらず、鳥の眼・魚の眼にもなって考えてみる習慣の必要性を感じると共に、評価軸の切り方、長所・短所の二面性(良い事だけで、悪い面をもたないモノなど存在しません)といった「評価」の難しさも今回改めて感じました。エビデンスは単純化した系でしかとれないので、どうbig data を評価してゆくのか複眼的な目線が問われます。

 「赤ワインが健康に良い?悪い?」という単純な「二分法思考」では片付かない、複眼的な目で見てみましょう、というある意味皆さまの期待に沿わない落ちになってしまいました。野菜を十分に摂って、赤ワインは人生に華を添える程度、というのも一つの美意識でしょう。正解は一人一人で異なります。
 期待外れという意味では申し訳なかったのですが、こういった複眼的視点で語ってゆくのが私の blog の価値ではないかとも考えております。
 いつも、最後までお読み頂き、有難うございます。皆さまあってのblogです、感謝感謝です。




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プロフィール

scaramouche

Author:scaramouche
I am an Executive coach, Consultant and Negotiator working in Tokyo, Japan. In charge with develop people, leadership management and motivation management, supporting president level, executive level and organization level.
Concurrently a visiting lecturer/researcher in Ohmae Kenichi School of Business.

After earning MD and PhD in medicine, I experienced medical practice as an anesthesiologist and ICU expert followed by scientific research work of molecular biology and molecular genetics. Following academic experiences, I joined to a global pharmaceutical company, and experienced Drug Discovery projects, Biomarker works in global Biomarker group, and Drug Development projects in the global context of drug development. Through my medical and business career, I have shown leadership involving internal and external stakeholders to create the value of projects.

Specialties: MBA (Business strategy, Marketing, and People Development), GLLC Certified Coach, JCA Certified Medical Coach, ABNLP Certified NLP practitioner, JNLPA Certified NLP practitioner, JSNS Certified Negotiation analyst, MD.Sc, PhD (Medical), Faculty Fellow of Pharmaceutical Medicine, Certification by the Training course of Biomedical Ethics and Law (Tokyo University).

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