FC2ブログ

2013-05

むずかしいことをやさしく

 ゴールデンウィークも最後の日が終わろうとしています。皆さまにとって、有意義な時間でしたでしょうか?沢山の「思い出」という価値創造につながったのではないかと、拝察申し上げます。小職は、身の回りの整理整頓に明け暮れたGWでした。それも価値創造にとっては大切なインフラですので、必要なタスクであったと思います。また、捨て去ることで生まれてくるものに出会える機会創生にもつながるのでしょう。まとまった休みは、普段出来ない事を手掛ける良い機会です。
 とはいえ、仕事・知的生産活動にとっては365日の一日一日に本来は差がありません。季節によって若干の向き・不向きはあるのかも知れませんが。人間が定めた、7日のサイクルであったり、週末の休日であったり、祝祭日を受け入れているだけです。その気になれば、独自のスケジュールを立てることも可能なのかも知れませんが、この社会の一員である限りは暦の慣習に従うのもまた効率の良い対応なのでしょう。

小説家・劇作家の井上ひさし氏が座右の銘にされていた言葉を思い起こす機会があり、このblog でも少し書いてみたくなりました。井上ひさし氏(1934年11月17日~2010年4月9日)は、こまつ座を主宰されていた劇作家・小説家・放送作家でしたが、「国語学者も顔負け」と言われる言葉に関する造形が深く、『週刊朝日』において大野晋、丸谷才一、大岡信といった当代随一の言葉の使い手とともに『日本語相談』の連載を担当されておられました。その豊富な知識に裏付けられた文章は軽妙で鋭い言語感覚が光っています。
ちなみに彼の作品と最初の出会いは「ひょっこりひょうたん島」でした。時代の一歩先の未来を予感させてくれる雰囲気にあふれた、何か根拠のない希望が伝わってくる斬新な人形劇だったように覚えています。

井上ひさし氏

さて、本題の「座右の銘」に戻りましょう:

むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに

またWikipediaの情報によると、揮毫を頼まれると、『むずかしいことをやさしく、やさしいことふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと』とよく記していたということです。

 【むずかしいことをやさしく】
 ある意味、愕然とさせられます。本質的な理解がないと、「むずかしいことをやさしく」は語ることができません。例えば、何も予備知識のない中学生に理解させることができたなら、本質的に理解していると考えても良いのではないでしょうか。
 元来「理解させる」「理解してもらう」には、説明しても上手く行かないものです。相手がどのような価値観を持っているのか、どのように受け止めているのか、を理解しないと説明することはできません。「相手に理解してもらう」ことは、「相手を理解する」ことなのです。即ち、相手を理解することなくPush型で相手に理解させることはとても困難であり、たまたま上手く行ったとしてもそれは相手の価値観や理解にたまたまフィットした場合だったと考えられるのではないでしょうか。
 いや、本質的な真実は絶対的事実であって、万人に受け入れられる、と仰る方もおられるかも知れません。物ごとは、縦・横・斜めといろんな視点から眺めて、その姿を頭の中で多次元的に再構成してイメージを作り上げます。「要するに一言でいうと」とやると、ある視点からみた姿になってしまい、象徴的であったり、大枠は正しい姿を伝えているのかも知れませんが、必ずしも正確な姿を伝えていることにはなっていない可能性があります。
 「プレゼンテーションZEN」著 Garr Reynolds (ピアソン・エデュケーション)を読まれた方も多いと思いますが、文字や図表のプレゼンテーションよりも、イメージで伝えるプレゼンの方がインパクトがあることもしばしば経験致します。イメージの方が、情報量が圧倒的に多いためで、ある映像から同じイメージを共有できるととても効果的ですが、その反面異なるメッセージに受け止められてしまうリスクもあります。過去の既存概念に対しては効果が高い反面、「新しい概念」を伝えるのは難しい面も感じます。
 いろいろな状況を例にとって、このblog を読んで頂いている皆さまと、多角的に理解しようとしています。幾つも出てきてストレスかも知れませんが、もう一つヒントとなる例を考えてみます。
 専門家が新書等一般向けに書いた本は、とても難解だったりするケースが多々あります。それに対して、出版社がライターに任せて、専門家にインタビューしてもらいライターに代筆してもらった本は、必ずしも専門家の方々からみると正確ではないかも知れませんが、一般の方々に大枠を理解してもらうにはかえって解りやすいことがあります。
 
 いろんな角度・視点から、考えてきました。いや、語りながら自分で頭の中を整理しているのでしょう。
 結局、「光が粒子か波か」という理解と似ていて、本質をとらえようとすると正確さが失われ、正確さにフォーカスすると本質がぼけてしまうようです。しかし、一般の方に理解して頂くことを想定すると、少々本当の姿とずれたとしても「本質」を一面になってしまうかも知れませんが、正しくイメージしてもらうことが「専門家の社会的貢献」とも言えるように思います。
 専門家といっても、専門領域で価値を高めることを目指すのではなく(まるで長崎の出島状態です)、社会にどのように貢献するか、にもっと価値と方向性を求める必要があるのではないでしょうか。時代が進むと、社会価値も変わります。ある専門領域も、時代時代にその姿と位置づけが変わってゆくでしょう。「むずかしいことをやさしく」、毎日工夫を重ねて進歩することにより、時代時代によって変化してゆく「専門領域の姿」をupdate してゆかないと、直ぐに時代遅れになってしまい、その「専門領域」そのものが陳腐化してしまう、それが21世紀なのです。


【参考】
*1 井上ひさし氏のプロフィール (こまつ座のHP)
http://www.komatsuza.co.jp/contents/aboutus/inouehisashi.html
スポンサーサイト



NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

scaramouche

Author:scaramouche
I am an Executive coach, Consultant and Negotiator working in Tokyo, Japan. In charge with develop people, leadership management and motivation management, supporting president level, executive level and organization level.
Concurrently a visiting lecturer/researcher in Ohmae Kenichi School of Business.

After earning MD and PhD in medicine, I experienced medical practice as an anesthesiologist and ICU expert followed by scientific research work of molecular biology and molecular genetics. Following academic experiences, I joined to a global pharmaceutical company, and experienced Drug Discovery projects, Biomarker works in global Biomarker group, and Drug Development projects in the global context of drug development. Through my medical and business career, I have shown leadership involving internal and external stakeholders to create the value of projects.

Specialties: MBA (Business strategy, Marketing, and People Development), GLLC Certified Coach, JCA Certified Medical Coach, ABNLP Certified NLP practitioner, JNLPA Certified NLP practitioner, JSNS Certified Negotiation analyst, MD.Sc, PhD (Medical), Faculty Fellow of Pharmaceutical Medicine, Certification by the Training course of Biomedical Ethics and Law (Tokyo University).

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (0)
一般 (11)
マーケティング (2)
クラシック (2)
コーチング (10)
リーダーシップ (6)
イノベーション (3)
医療 (5)
アート (4)
組織人事 (6)
事業戦略 (3)
書評 (4)
心のマネジメント (6)
人材育成 (5)

最初のカウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR