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2020-04

何か足りないというときは、もっと足りないようにする

先ほど、NHKで、「SWITCHインタビュー達人たち 行定勲×宮本輝」を観ていました。正確にはチャンネルを変えていて、釘づけになってしまいました。
 30歳、デビュー作『泥の河』で第13回太宰治賞受賞された宮本 輝氏ですが、その時のエピソードを語っておられた、その本質的な凄さに打たれます。
 例えば、今日5枚書いた、で読み返してみたら何かものすごく大事なものが抜け落ちている、すると書き加える、ここも、あそこもと。そして、もう一度読み返すと、ますます離れていく。『泥の河』を書く前悩んでいたら、小説の師匠にしていた人が、僕が一生懸命書き加えたり、最初から大事にしていた書き出しとかを鉛筆でぴゃーっと全部消した。なにするんですか!と怒ったら、「ここからここを無しに書き始められたら、君は天才になれるんや」と言われた。けど、僕のお気に入りの7〜8行を勝手に消しやがってと腹立った。家に帰って、ふと夜中に師匠の言うとおり、そこをなかったものとして読み返したら、はるかに良かった。

“いかに削るか”。付け足していくのではない、書きたいものを書いてはいけない、“書かずに書く”。

金槌で釘を打つのも、力任せに打ったって釘は打てない、コンコンと金槌の重さを利用して打つ。こういうふうにして小説を書いていく。僕が最初に習ったのは、“取ってしまう”ということ。

何か足りないというときは、もっと足りないようにする。

 いや~ 凄い! こんな教えを受けて、更に書き足す行為は、「何も学んでないじゃないか!」と怒鳴られそうですが、「説明してはいけない!」。
 いくら説明しても、自分の考えている風景、世界を他人に追体験してもらうことはできません。本質を伝え、受け手が100人いれば100通りの受け取り方をして理解してもらい、尚且つ各々の人の受け取り方が一人一人「固有の」概念になっているのだが、本質は伝わっている。言い換えると(これがいけない!蛇足!!)、本質が各々の経験という衣をかぶって「現実」「経験」の中で理解されてゆく、とも言えるでしょう。
 未完成な形で伝えて、各々の中でその人の経験値で補完され、「その人に合った形」「その人にcustomize された形」完成されてゆく。未完成な形で伝えるゆえに、余計なものはそぎ落として、「(自分が)言いたいことは言わずに」伝えるには、伝え手の人間性・力量までもが問われます。

 能の舞台を思い起こさせてくれます。観る人が、その人の観方に従って、独自の世界を作りながら観ている。その為にも、「簡素」を通り越して、「未完成」な形で提示しているのです。表現している方は、「自分の描いた世界」「自分の価値観」を相手に押し付けることなく、相手が思い描いてくれた風景をそのまま受け入れ、その上で表現してゆくだけの「自由さ」であったり「許容量」が求められるでしょう。相手が思い描いている風景が、自分の伝えたいものとは異なっていても、敢えて許容するのです。
 元来、客観的な “fact” というものが、存在している訳ではありません。見る人各々の経験値に補完され、各々の中で形になって受けられてゆくのです。
 思いめぐらしてみると、2000年前にユリウス・カエサルが「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」と語っています。相手が「見たいと思う」形に見ている/理解しているのを許容するだけの力量が、語り手/伝え手には求められます。何かを語る、伝える evangelist の宿命とも言えるでしょう。
 もう一つ思いめぐらせてみると、アンデス地方原産の「トマト」は、乾燥した気候に順応していて、水分を採る為に細かい羽毛の様なひげ根が樹全体のあらゆる所に見られます。水を十分に摂取できない状況に置いて、自助努力を促す故に、甘くて素晴らしいトマトが得られるのです。

 今回は、「未完成の形で伝える」、本質以外の一切の夾雑物は削ぎ落とす、何か足りないというときはもっと足りないようにする、事により受け手の価値観で補完され伝わることを許容する勇気・胆力が表現者には必要ということを再認識させられます。
 人間は忘れる動物です。嫌な出来事を全部覚えていようものなら、不安神経症に悩まされることでしょう。それ故に、大切なことは、表現を変え、視点を変えながら時々思い出さなければならないということです。
 子育ても一緒だな~ と、つくづく思います。なかなか、本人が自己責任で、自分の足で立てるようになるには、親の価値観を押し付けることなく、本人の行動を受入れる必要があります。

今回は、如何でしたでしょうか?
伝わらない時には、説明してしまいそうになりますが、加えてはいけない削ぎ落とすことが求められる、という事でした。本質だけを不完全な形で伝え、相手の価値観で補完して頂く、いや~ 難しいですね。
自分の理解している概念は、自分の価値観の色眼鏡を通してできているので、そのまま相手に伝えようとはしてはいけない。相手の価値観で表現された姿を受け入れることが求められます。
また、一度能の舞台を観に行ってみないといけないですね~
今回も、最後までお読み頂き、有難うございました。
こうして、力不足ながらも blog が続けられるのは、皆さまのお蔭と、感謝・感謝です。



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旬の素材「そら豆」

 新緑の季節、旬のそら豆をスーパーの店頭でみかけたので、そら豆のリゾットを作ることにしました。
 塩味やチーズの量を控えめにすると、「何となく物足りない」印象を受けるのですが、一口、二口と味わってみるとそら豆本来の風味を感じることができます。
変化が速く、ストレスの多い今の時代において、人はともすればインパクトの大きなものや印象の強いものに魅かれがちなのではないでしょうか。もしかしたら、対人関係でも同じような傾向があるのかも知れませんね。
 今回はそら豆が主役ですので、彼(女)の味を活かすためにどういう環境を整えればいいかという構想で、全体に控えめなセッティングを選ぶことにしたのですが、お米にもそら豆の味わいがほのかに感じられる程度がいかにも「美しい」と私には感じられます。リゾットなので和食ではないのですが、「素材の味を活かす」和食の発想は時に忘れていた記憶を呼び戻させてくれる所があります。自分のモノサシからはずれていた選択肢を、無意識の中から引き出してくれるトリガーになるだけのインパクトを自然は兼ね備えている、と言い換えても良いのではないでしょうか。
 まさに、「自然に学び、歴史に学び、古典に学ぶ」と実感する瞬間でした。
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 さて、この経験をチームマネジメントに当てはめて考えてみると、このようなバランスを設定するのはなかなか難しいのではないかと思ってしまいます。多くの人は、インパクトの大きい仕事を良いパフォーマンスを感じる傾向にあるのではないでしょうか。チームを組む前の段階で、ハイ・パフォーマーとしてセレクションが掛っているようにも思います。
 そのような状況で、強みにもなる「控えめな良さ」を引き出すのは改めて難しいと考えさせられました。一昔前のピラミッド組織型のマネジメントでは、まず無理でしょう。現代の多様性を活かしたマネジメントの中でこそ可能性があるのかも知れませんが、良いエピソードを思いつかないので、これを機会にどこかで発掘できる機会はないかアンテナを立ててみたいと思います。仕事よりも、ソーシャルアクティビティの方が可能性は高いかも知れませんね。
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 話題を元にもどしまして、「何となく物足りない」印象を受け時点で、ラベルを貼り替えることができるかどうかのターニングポイントに立っていることが解ります。皆さんも、食べる前に、外観・印象、時には経験の記憶から「こういうものだ」と予想したり、期待値を設定しておられるのではないでしょうか。実際に味わってみて想定値通りだと納得感があるのですが、予想からずれていた時にどのような反応をとれるかが問題で、「やっぱり期待はずれだった」と思うのか、自分の貼っていたラベルを一旦剥がして、モノサシをイレースして別のモノサシをゼロベースで設定して評価できるか、という分岐路に立たされます。
 同じモノサシの上で期待値を越えている場合はとても解り易くて、「期待値以上のサービスだった」と感じる訳ですが、別のモノサシに替えてみると「潜在的な」期待値を越えるサービスを感じることのできるチャンスがまた生まれてきます。
 モノサシを替えると、違う視点にアンテナを立てると、暗い中に周囲の風景がだんだんと見えるようになってきて、「こんな景色があったんだ」と視界が開ける、といったイメージです。
 ネクタイを誕生日にプレゼントされたという方がおられました。彼は、それまではネクタイに興味をもっていなかったのですが、プレゼントされたネクタイの色合いがとても気に入ってしまったと仰っておられました。彼は、その時以降町を歩いていても皆さんの締めているネクタイが気になるし、ショウケースに飾ってあるネクタイが気になるし、と全く町の景色が変わってしまった経験を語って下さいました。
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 新ためて、Webでレシピを検索してみると、納得した面があります。
我が家で採用しているのは、
     玉ねぎのみじん切りを炒める (EXVオリーブオイル+バター)
     お米を加えて透き通るまで炒める
     透き通ってきたら、白ワイン少々加えてアルコールを飛ばす
     更に水を加え蒸す、
     2~3回そら豆の茹で汁を加えながら蒸す
     約20分、火が通ったら茹でたそら豆を加え、塩味を整える
     最後に、パルメザンチーズを加えて、出来上がり
というシンプルなレシピです。

 で、Webでみてみると、ベーコンを加えて炒めているもの、玉ねぎは省略して固形スープの素を加えているもの、といったところが検索されてきます。実際に試していないので、なんとも言えないのですが、「そら豆の風味だけでは物足りない」といったメッセージが伝わってくるように感じます。
 実際には、「純粋にそら豆を味わいたい」と思っている方もおられるのでしょう。しかし、マジョリティーはそれでは物足りなくて、+α インパクトのある一品を期待されるのでないでしょうか。その結果、ベーコンを加えたり、ブイヨンを加えて味を調えているレシピが淘汰されたのではないかと考えさせられました。
 「シナジーを生みだす」という戦略も勿論重要と思います、しかし、今回「旬の素材、そら豆の風味を活かす」という命題を考えた場合に「さてそれでいいものか」と妙に考えさせられた一日でした。グローバル化やハウス栽培で季節感に感度が下がりがちですが、旬の素材にはその一瞬ならではの輝きを感じます。
 皆さんは、どのようなゴールデンウィークを過ごされましたか?




自然からのメッセージ

人類の文明と文化の多様さと美しさに魅せられたので、
今度は、自然の美しさにも触れてみたくなります。

スペイン最高峰 El Teide 山(3718m)からの映像です。



続いて、同じ作者の Norway Lofoten 群島からの風景



最後に93分の長編になりますが、
地球環境活動を推進している写真家 Yann Arthus-Bertrand による 地球環境、自然、人々の営みを伝える映像 HOME です。

HOME

圧倒的な自然の魅力は、どんな言葉をもってしても、言い表すことはできません。
その場所に立ったつもりで五感を全開にして、しばし intuition に身を委ねてみませんか。

顔を挙げて、前を向きましょう

最近、話題になっている映像から
From Rick Mereki を皆さんとシェアしてみたいと思います

3人の若者が、44日間をかけて、11カ国、18回のフライト、, 38,000マイルを旅した風景を、3本のフィルムにまとめています。

a trip of a lifetime
人生の旅

EAT from Rick Mereki on Vimeo.


LEARN from Rick Mereki on Vimeo.


MOVE from Rick Mereki on Vimeo.



本来は、STA travel というAustralia の旅行会社の promotion video のようです。
STA i want to know

i want to know と思ったら to travel、ということですね。

snap shot で見せながら、風景の美しさ、生きざまの多様さと美しさが展開されていきます。
どの風景も、その土地には当たり前の風景であっても、それを目の当たりにする我々には、
新しく、その生活と人々に(純粋に)好奇心を掻き立てられます。

その中でも、印象的なのは、人々の表情が活き活きしていること。
極東の島国で、同質の人たちにかこまれて生活している我々日本人はというと、
毎日路上で、会社などで顔を合わせている人たちの表情を改めて思い浮かべてみても、
こんなに楽しそうに毎日を送っていたっけ??
と考えてしまいます。

普段、何気なく、当たり前にできていることがその人の強みであったりします。
多様な外部環境の刺激は、
自分自身にとっても新しい視野を提供してくれる刺激であるとともに、
自分自身を映し出してくれる鏡でもあり、
「私は、いったい何者であるか?」を考えさせてくれる機会でもあり、
強みを再認識し、自信につなげる機会でもあるように思います。

顔を挙げて、前を向きましょう。
ゴルフツアーの映像を見てみて下さい。
強い選手は、ミスしたあとも、次のホールに向かう時には、もう顔を挙げ、前を向いています。

皆さんには、どのようなメッセージが聞こえますか?

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プロフィール

scaramouche

Author:scaramouche
I am an Executive coach, Consultant and Negotiator working in Tokyo, Japan. In charge with develop people, leadership management and motivation management, supporting president level, executive level and organization level.
Concurrently a visiting lecturer/researcher in Ohmae Kenichi School of Business.

After earning MD and PhD in medicine, I experienced medical practice as an anesthesiologist and ICU expert followed by scientific research work of molecular biology and molecular genetics. Following academic experiences, I joined to a global pharmaceutical company, and experienced Drug Discovery projects, Biomarker works in global Biomarker group, and Drug Development projects in the global context of drug development. Through my medical and business career, I have shown leadership involving internal and external stakeholders to create the value of projects.

Specialties: MBA (Business strategy, Marketing, and People Development), GLLC Certified Coach, JCA Certified Medical Coach, ABNLP Certified NLP practitioner, JNLPA Certified NLP practitioner, JSNS Certified Negotiation analyst, MD.Sc, PhD (Medical), Faculty Fellow of Pharmaceutical Medicine, Certification by the Training course of Biomedical Ethics and Law (Tokyo University).

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