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2020-04

フォッグの行動モデル - どうしたら行動に移せるか

 「11月なのに雪」の日には驚かされました、歩道の雪を集めた片隅にまだ名残が見られ、いよいよ冬という感が漂っています。いつも、本 blog を訪問下さり、有難うございます。今回は、この前 BJ Fogg's Behavior Model に久しぶりに再会し、以前とはまた変わって見えた所がありましたので、話題に取り上げてみたいと思います。

 どうして、違って見えたのか?といいますと、丁度昨日のFBの投稿にあります。
 「現代の多様な組織に求められるリーダーは「優しい頼れる兄貴」のような存在です。
彼のプロジェクトに参加していると、困難なミッションでも、知らず知らずのうちにスムーズに事が運び、気がつくと成功裏に完了している。
 もちろん、大難局にぶち当たり、チームの結束が高まりパワーアップしただの無数のパターンがある。正解など、前もって決まっていない」
 行動に移せるリーダー/指導者とは? 考えてみたいと思います。

 まず「フォッグの行動モデル」のご紹介をさせて下さい。行動を起こすには、モチベーション、能力、きっかけの3つ要素が同時に集結しなければならない、ということを示しています。
 ある 「きっかけ」が生じた時に、「モチベーション」と「能力」が伴わないと行動が起こらない、という訳です。

BJ Fogg's Behavior Model
Fogg の行動モデル

 たとえば、電話一本かかってきた状況を考えてみても、恋人との電話でしたら、「モチベーション」は高いでしょうから、たとえデートに行くお金がなくても(「能力」が低くとも)、電話にはでるでしょう。Trigger がaction を引き起こすことができました。嫌な仕事のクレームでしたら、「モチベーション」は下がるでしょう。対応できる準備「能力」ができていれば、電話に出るでしょうけれども、準備ができていなければ、電話に出たくなくなってしまいます。もっとも、信頼関係という「モチベーション」から、嫌々ながらで電話に応ずるかも知れませんが。
 このモデルでは、能力、モチベーション、きっかけの3つの要素が適切に組み合わさった時、人が行動を起こすと考えられています。
 では、「適切に」ことはどういうことか、考えてみましょう。

 プロ/熟達者の場合は、「能力は高い」ところにあります。図の easy to do です。能力が高いがゆえに、少々モチベーションが低くても、行動に移せます。また、きっかけ/動機が低くても、上手くこなすことができます。1つの要素である「能力」が、行動を起こす/やり遂げるための他の2つの要素「モチベーション」と「きっかけ」のハードルを下げている、とも考えられます。
 初心者の場合は、図の hard to do で示される「能力は低い」ところにあります。余談ですが、 do と act は意味が異なるのですね。「モチベーション」と「きっかけ」が高くないと、行動には移せないと考えられます。実際に行動に移してみると、初心者では失敗を繰り返すため、「モチベーション」が下がって行動に移せない状況に転ずる訳です。
 さて、このように初心者がモチベーションを下げた時に、熟達者である「指導者」は何ができるでしょうか? 残る要素である「きっかけ」をより魅力的なものに変える、ということでしょう。目の前に人参をぶら下げるのか、より低い目標設定により初心者でも「到達できる」と思えるよう、「きっかけ」を調整します。結果、アクションにつながり、成功体験を積むと、「能力」の向上につながって、更にアクションを起こしやすくなります。

 実際には、どのように対応しているのでしょうか?
 確かに、設定目標を低くして「きっかけ」を調整します。ここで問題になるのは、「できない理由」は千差万別、一人一人異なります。相手が何で躓いているのか、本当に理解できているかが問われます。普段からよくコミュニケーションが取れているかどうか、ということがポイントになります。実際、コミュニケーションをとると、課題や現在直面している問題点、どうやって対策しているのか、というったことをこまめに話すことになるので、「きっかけ」を下げるよりも、いつのまにか「能力」が上がっている、ということにもなるでしょう。
 もう一つよく見かけるのは、「能力」を上げようとする指導者による教育です。これがなかなか上手くいかないのは、「名選手かならずしも名監督ならず」という格言が良く物語っています。なぜ上手く行かないのか?一つは、自分の成功体験の押し付けになっているからでしょう。Player も変われば、状況も変わっているので、そうすんなり再現できるものではありません。もう一つは、ふつうの人が躓いている所を、才能のある player が難なくクリアできてきた事実です。プロはしばしば「何故生徒ができないのか」が理解できないものです。ミスタープロ野球長嶋茂雄氏が「球がこうスッと来るだろ」「そこをグゥーッと構えて腰をガッとする」「あとはバァッといってガーンと打つんだ」と、少年野球で指導していたエピソードが典型です。

 「伝えることは、(相手のことを)理解すること」と言われます。前のパラグラフにも、コミュニケーションの内容を「課題や現在直面している問題点、どうやって対策しているのか、というったことをこまめに話す」と述べましたが、「能力」を高めるにも、「きっかけ」を設定するにも、普段からこのようなコミュニケーションを通じて相手の事を理解する/共感する/同化することが、本質的に問題になるようです。

 今回は、いかがでしたでしょうか?
最後まで、目を通していただき、感謝です。



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21世紀の教育とは

学校で学んだことを一切忘れてしまった後になお残っているもの、それこそ教育だ。(A Einstein)
 今回は、このアインシュタインの言葉を元に、現代に通用する部分と時代に合わせて必要とされる所を考えてみたいと思います。
学校教育とは、人生を生き抜けるすべを与えることであって、(指導要領に事細かに書かれているような)知識を教えることではない事は、このblog をお読み頂いている皆さまにとっては共通の認識と思います。親も、子供の一生を守り通してあげることはできない事実があるため、子供には生きぬいていける力量が育つように見守ってあげることが求められているでしょう。
 老子が言ったと言われている故事にあるように、「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていく事が出来る」『授人以魚 不如授人以漁』にも通じると思います。

 21世紀的には、「釣り方」「採り方」といった過去の経験の蓄積を伝授するのではなく、「その人の中に持っているモノ」を引出してあげる事によって、現代に通用する新しい、一人一人に合った「釣り方」「採り方」が身につくといえるのではないでしょうか。
 とはいっても、現在までに確立した「釣り方」「採り方」は、過去の失敗の山を築き上げた結果、時代の荒波を乗り越えて生き残ってきた最善策なのです。浅はかな(?)思いつきで変更しても、just idea は過去に誰かがやってみて上手く行かなかった例をなぞっているに過ぎず、本人は改善を目指していても実際には改悪にしかなっていない、という例を実に沢山見かけます。「他人のマネができるのが秀才、他人のマネもできないのが凡才」と言われるゆえんです。他人のマネを繰り返し、現代に生き残っている/確立した「釣り方」「採り方」から、その本質と発想を学び取り、未知の状況にも対応できるようになり、自分流を確立するのが、守破離の教えです。守破離についても本 blog で取上げたこともございますので、よろしかったらご参照ください。

型を体得しないと「型破り」にはなれません

 過去と同じ事が将来にも起こる訳ではありませんので、過去の流儀・対応をそのままなぞるのでは、過去の成功体験を再現できずに終わってしまいます。緊急事態・未知の状況に対応するためにも、過去の成功例・失敗例から学び、守破離を目指してゆく事が重要になります。学ぶことなく「守」を繰返すだけでは、学んだことにもならないのです。
 過去の確立した「釣り方」「採り方」を学ぶだけでも、「1万時間の法則」と言われます。素人からスタートしてプロの域に達するには、1万時間に及ぶ練習・経験が必要ということです。分野を問わず。1万時間というと、毎日3時間の練習を365日通して維持すると、約1000時間という計算になりますので、これを10年間継続して初めてプロの域に達するということです。
 確立した「釣り方」「採り方」をマスターし、その上で、現代の環境変化に即応して、新時代領域のノウハウを取入れたり、境界領域を開拓しながら、そこに通用する21世紀の「釣り方」「採り方」を生みだしてゆく、力をつけるのが21世紀の教育の目的になってくるでしょう。守破離の「離」を目指すのが、教育の目的とも換言できるのではないでしょうか。

 未知の領域であり、誰もが経験したことのない部分が含まれます。そして、「その人の中に持っている能力」を発揮しない限り、未経験ゾーンで生き抜いてゆく事はできないでしょう。如何に引出してゆける環境を整えるのか、またどれだけ失敗を許容できるのか、本人にとってはどれだけ失敗から学べるのか(何かを学ぶ限り、「失敗」ではなく「経験」です)、個人にもチーム・組織にも忍耐と明確なビジョンが求められます。
 老子の時代・紀元前6世紀から2600年を経て、21世紀には「釣り方」「採り方」を教えるのではなく、自分で考え抜いてもらう時代になってきたようです。そこには、基礎となる知識と智恵も必要になってきます。A.Einstein の「学校で学んだことを一切忘れてしまった後になお残っているもの」を考えても、自分で考え抜けるために必要となる知識・智恵も時代と共に加速度的に増加してきているのも、また事実です。
 知識、直感、感性、創造性、忍耐力、多角的な能力を兼ね備えている事を要求されているのが現代に生き延びてゆくことの難しさとも言えるのではないでしょうか。
 やはり春秋時代に、孔子が「学びて思わざればすなわちくらし、思いて学ばざればすなわちあやうし」『子曰、学而不思則罔、思而不学則殆』という強烈な一言を残してくれています。勤勉に知識を蓄積しても、大志を抱く/世の中に貢献してゆかないと、なおも「愚鈍」でしかないのですが、野望だけ大きく学問としても倫理的にも力を蓄える裏付けがないとこれほど危険なことはない(本人にとっても)、身に積まされます。

最後まで目を通していただき、有難うございました。
今回は、いろいろな先人たちの名言を結びつけることになりました。少しでもお役に立てれば、幸いです。


やりたいことは全部やれ

 「やること」を選ぶのではなく、「やらないこと」を決める、とよく耳にします。
 「やることリスト」は、To do リストとして、このブログを読んで頂いている皆さんでしたら、管理されていることでしょう。一方で、「やらないことを決めること」という事は「やることを決めること」と同じくらい大切な事と指摘されています。なぜ、「やらないことを決める」のが大切なのでしょうか?
 断捨離の発想とも重なってきます。まあ、バックグラウンドノイズが高くなると、あれもこれも、と気になって集中できなくなるのが人間の脳です。前回のブログでいうDMN (デフォルトモードネットワーク) と同じようなものですね。部屋や机の上が乱雑になっていても、集中の質が落ちるのとも共通です。
 A ドラッカーも「物事は、人が思ったり、言ったりすることの2倍かかる」と述べていましたが、優先順位No.1 の事には、予定の倍の時間をかけて完成度を高めるのが最も良い成果につながります。これは、同じくドラッカーが述べたように「われわれ人間は、たいていの場合、自分の能力や自分の重要性を過小評価するよりは過大評価しがちである」結果なのかも知れません。ですから、「やらないこと」を決めるのは、優先順位No.1 の事に集中するための有力な方法と考えられる訳です。時間も無駄に、非効率に使わなくてよくなります。

 大体において、課題・問題が6つあったら、2つは自分の力の及ばないことなので指を咥えて見ているしかない、2つは放置しておいても忘れ去られてゆき問題ない、本当に全身全霊取組むべき/結果がその後を左右するのは2つくらいのものです。優先順位 No.1、2以外は断捨離してゆく、という発想を述べていると考えられるのではないでしょうか。
 しかも、優先順位 No.1、2はその結果によって次のステップが決定される事が多いので、予定時間の倍を投資してでも完成度を限界まで高めるべきタスクです。それ以上にやる事を選んで(優先順位 No.1、2の)完成度を落とすのではなく、「優先順位 No.1、2以外はやらない」という断捨離が今後も含めて成果の最大化をもたらすことにつながるということになります。大袈裟な言い方をすると、この断捨離によって優先順位 No.1、2の邪魔をしないことが、今後の人生を左右する、ということにも繋がるでしょう。
 更に重要な点は、無駄な目標を掲げなくなり、優先順位No.1のテーマのみを何度も繰り返し自分自身にメッセージを送ることにより、自己効力感・自己重要感も高まる点で自己啓発にも一役買ってくれることでしょう。
 「やらない事」を決めるのは、ある意味で勇気のいる決断です。先ほどの「課題・問題が6つあったら」というフレームワークは、勇気と自信をサポートしてくれるツールとしても使えそうですね。

 さて、その一方で「やりたいことは全部やれ」と大前学長も仰っておられました。これは、断捨離を邪魔する事になり、矛盾するのではないかと一見思えます。この点について、少し考えてみたいと思います。
 一つは、「やりたい事」を実行に移すので、モチベーションが上がって、効率よく仕事にも遊びにも取組める、というポジティブな効果を持たすことが期待されます。義務教育の年代でしたら「よく遊び、よく学べ」となるでしょうし、社会人なら「できる奴ほど、遊びも真剣」という表現と同じことです。業務の効率化を図るツールに活用している、ということになるでしょう。「やりたいことは全部やれ」と実行できる勇気のある人なら、優先順位 No.1、2の完成度を納得できるまでやり遂げるように思います。そこまで仕事も真剣に取組めないと、「やりたいことは全部やる」真剣さを兼ね備えることはできないでしょう。仕事の優先順位 No.1、2以外は断捨離できる勇気をもって余暇を生みだし、「やりたいことは全部やる」のです。弱気になって、やらなくても大して影響ない仕事で時間を浪費するのは、結局仕事の効率と質を落としてしまう事に繋がってしまうようです。
 次に、いろんな 未経験の世界にチャレンジすると、そこから学びも多いものです。「やりたい事」を選んだ「直観力」に従ってみることは、一考の価値が十分にあると思います。
 「好きを仕事に」しないと上手く行かない時代です。時代の変化のスピードが益々加速化され、これまでの経験の延長上では上手く行かない、毎回ゼロベースで考える必要があるからこそ、「好きな事」しか寝食忘れて深くとりくめないでしょう。プライベートまで考えると、「好きな事」に取組む、直感に従った時間をできるだけ沢山取る事を考えないと、いやいや取組んでいることからはまず「学びを得る」チャンスは訪れないでしょう。自分の学びの為にも、「やりたい事」「好きな事」に取組む隙間時間を増やしてゆくのがよさそうです。とはいっても、毎日生活していると routine work は発生してきます。Routine workにも、新鮮な目を向けて取組んで行けるよう、リフレッシュに時間を使いたいものです。

 最後までお読み頂き、有難うございます。皆さまには、いつも感謝、感謝です。


「話す」こと、「伝える」こと

我々よりも100歳以上先達、Woodrow Wilson 大統領 曰く
「10分の演説には1週間の準備が必要だ。15分の演説なら3日、30分の演説なら2日、1時間の演説なら今すぐできる」素晴らしい達見と思います。
 かつて、このblog でも井上ひさし氏の「むずかしいことをやさしく/やさしいことをふかく/ふかいことをおもしろく」というかれのエッセンスが昇華されたような言葉についてディスカッションしたことがありました。
むずかしいことをやさしく

 その時も、次のように書きました。相手がどのような価値観を持っているのか、どのように受け止めているのか、を理解しないと説明することはできません。「相手に理解してもらう」ことは、「相手を理解する」ことなのです。
 普段の会話でしたら、相手に話してもらいます。相手に80~90%話してもらって、自分が10~20%話すペースをイメージ頂ければと思います。相手に話してもらう内に、考えていること、モヤモヤしていることの整理がついて、ソリューションが見えてくるよう自分の持ち時間(10~20%)を使ってレバレッジする、ということです。相手にしてみると、誰かに指摘された/指示されたことではなく、自分で引き出した目標だからこそ達成意欲が湧きます。自分の価値観に合っているからです。
 演説・スピーチにはこのように「相手の価値観に寄り添う」作戦がとれません。では、どうすれば良いのでしょう。今回は、このテーマで語ってみたいと思います。

# TED talk
 TED talkは18分ですが、感動を伝える彼らのスキルにはどんな特徴があるのでしょうか?少しみてみましょう。
 まず、言葉の問題、talk or speech? 何故、’talk’ なのでしょう。talkという言葉は相手も話すということを前提にしています。つまり、相手とのやり取りで内容を創り出してゆく発想です。それに対して、speakでは、相手がいるかいないか、相手が自分の言ったことを理解するかどうかは関係ありません。何らかの内容を一方的に伝える、相手が話すことまで意味しない言葉です。あのように檀上にあっても、「聴衆の反応との言葉のキャッチボールをしながら、talk を創り上げてゆく」というメッセージが込められているように感じられます。中には、いろんなパーフォーマンスを織りこむ演者もおられますが、言葉以外でも何でも伝える手段は制限されません。
 このように、壇上から聴き手に合わせて「伝えたい事」を創り上げるのは、大変な作業です。TED talk でも、MIT メディアラボの伊藤譲一所長の回には、準備に1か月かけていたこと(あの超多忙な方が?!)、独善的になるのではなく、アドバイザーに聞いてもらい、何度も練習を重ねて準備していたことが紹介されていました。
 第一に、独善的にならない、他人のアドバイスを受入れる、他人の価値観を受入れることが鍵です。そして、何度も何度も練習を繰り返すところに価値があります。練習を繰り返し、自分の中から新しい価値観・ものの観方を引出してゆく、また他人の価値観を取入れ、自分の中に定着させることが即ち、自分自身の能力開発につながるのです。「意識せず/できない」事が、違和感を感じながら「意識して/できない」を繰返す内にたまに上手くいくphase に step upします。これを繰返して「意識して/できる」状況を定着させます。更に練習を重ね、自然に「意識せず/できる」状況まで登り詰めると、それ以前より変化した自分を獲得したことになります。解りにくい方は、「水泳等スポーツのフォーム改造の取組み」に当てはめてイメージしてみて下さい。
 そして、一つのストーリーではなく、聴衆の興味・反応を想定して、何通りかのストーリーをドラフトしてゆく必要があるのではないかと思います。

# TEDxのオーガナイザーの視点
 TEDxのオーガナイザーであるジェレミー・ドノバン氏の著作『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』(原題:How to Deliver a TED Talk: Secrets of the World's Most Inspiring Presentations)から、彼の分析結果を引用してみましょう。
1) 伝えたいアイデアを1つに絞る
 「秀逸なTEDトークになにか秘密が隠されているとすれば、それは講演者がたった1つの、本当に本当に大きなアイデアを伝えることに注力しているという点です」と著者は述べています。我々は、関心がすぐにあちこちに移りやすく、日常一つのことに集中しない生活を送っているのです。彼は、「今話していることは主題から逸れていないか、それとも主題を強化するための内容か?」と自分に問うよう、ヒントをくれています。素晴らしい視点ですね。
2) 自分のことは忘れる
  「話のクオリティが大きく変化する瞬間というのは、自分自身のことが意識から消えるとき」と述べています。最も重要なのは、talk の対象である「聴衆」ということです。聴衆に意識が集中し、聴衆とのやりとりから talk の質を高め一つの作品を創り上げるということでしょう。「あなたの大切な人に対して語りかけるように、話してみてください」と、ヒントをくれています。大切に思えば思うほど、相手に意識がいって、一方的に話しかけないですよね。
3)出だしが肝心
 ドノバン氏は、3つの方法を紹介しています。第一に、もっとも良い始め方は、「メインテーマにすぐに入ってしまうこと」です。次におすすめの始め方は、「聴衆に考えさせるような質問を投げかけること」です。聴衆に参加してもらいましょう。3つ目の方法は、「衝撃的な統計データを示すこと」です。データには説得力があります。
4)キャッチフレーズが決め手になる
 「優秀なトークでは、キャッチフレーズが繰り返される」と氏は言います。そう simple is best ですよね。そのキャッチフレーズを聞いたときに、聴衆がなにか個人的なことと結びつけられるようなもの、自分自身に腹落ちして個々人のストーリーを展開してゆくきっかけになるような内容が求められます。影響の拡がる「未完のストーリー」が必要です。
5)自分の中にいる「脚本家」を目覚めさせる
 「私たちは小さいころから、ストーリーの語り方を身につけさせられている」そう語るドノバン氏は、私たちはみな生まれながらの語り手なのだと言います。いわゆる神話のストーリー ‘Hero’s Journey’ 作りを身につける、思い起こすという事でしょう。これは、内容が長くなるので割愛致しますが、「英雄の旅」のストーリー構成は、世界中万人に響く「心のふるさとストーリー」ということでしょう。お年寄りの水戸黄門「勧善懲悪もの」ストーリー、のグローバル版です。

英雄の道

 さて、今回もこうしていろんな視点から talk, 演説について視てきました。聴衆と「言葉と反応のやりとり」により、共通の時間を創り上げてゆく。それには、どのような引出しが使われてきたかという事でした。こうやって最後までお読み頂いている皆さんは、向上意欲の高い方々ばかりと思います。この blog のテーマが、皆さん一人一人の中で、一人一人の価値観と相まって熟成され、皆さんの step up に少しでもお役に立てばこんな嬉しいことはありません。
 最後までお読み頂き、心より有難うございます。


仕事は人を選ぶ

最近の会話の中から、今回はこの話題を選ぶことに致しました。
 毎回、脈絡がない話題選択で申し訳ござません。1週間経つと、さすがに話題に挙げたいテーマ・内容との出会いが幾つもあり、書きたいことを書いてしまいます。「今書きたいこと」だからこそ、内容が充実するのがメリットですが、脈絡なくエッセイ集の様になってしまう難点があります。二兎は追えないものと諦めて、皆さまも気楽に目を通して頂けると嬉しいです。
 また、話が飛んで恐縮ですが、今 Martha Argerich & Nicolas Economou 演奏のW.A.Mozart 四手の為の D dur ソナタ K. 381を聴きながらこの文章を書いています。アルゲリッチもエキゾチックな美人ピアニストですが、選んでくる共演者も何故か?イケメンが多いように感じるのは私だけでしょうか? 中には、Nelson Freire とか一部の例外は認めますが。。。 脱線ついでにもう一点、横から撮った画像で2人が同じ手の動きをする所を観ると、アルゲリッチの天才肌を体感できます。指の動き、手の動き、身体の使い方が表現される音楽そのものでゾクッと来るのですが、これはマネできません。。。 プロの音楽家に見えている風景がいかに我々凡人とは次元が異なるものか、身に染みる一瞬でもあります。

#1 一人一人の個性を考える
 企業の研修というと、「何人かの社員集団を前に何か教えを垂れる」という形が何十年も前から定着しています。聞く側が金太郎あめのように同じ資質を備えた人間であれば、効率の良い方法でしょう。しかし、実際には受講する側は、一人一人が個性の異なる人間で、一人一人の個性に合ったやりかた/アプローチで行かないと結果に結びつきません。しかし、日本企業の現場では今もこのような対金太郎あめ的アプローチが主流です。すると、講義する方としては、例えば20人を相手にするとΣ(n=20) が最大化するようなアプローチを目指すことになり、一人一人に対する value は最大化することはできない、結果に終わります。
 もっとも、大勢に対する講演の場でも、「全員に理解してもらえる」発想でストーリーを構築することはありません。ターゲットとなる一人を想定して、その一人に理解してもらえるようにストーリーを構築します。大体、どのような内容でも、前知識・経験のない中学生に理解させることができたら一流のストーリーといえるでしょう。実際には、そこまで完成度を上げるにはかなり作り上げないといけないでしょうし、何度も誰かに聞いてもらい評価してもらう必要もあります。人間、ともすれば「自分が理解しやすいストーリー作り」の罠にはまってしまうものです。
 今後は、active leaning という言葉も聞かれるように、「何を伝えるか」ではなく、各自に自主的に学んでもらうようにサポートする流れに移行してゆくでしょう。GEのクロトンヴィルでは、「何かを教える」というアプローチは影をひそめ、「これまで経験したことのない状況に対して、参加者グループで対策を考える」といったトレーニングが主流になってきています。Best practice という言葉さえ、死語になりつつあります。過去の状況におけるbest practice は必ずしも、現在・未来の環境における best practice を生まないからです。我が国でも、相変わらず高度成長期時代の成功体験/best practice を滔々と語る団塊世代がまだ影響力を残していて、現場を失敗に導く例が散見されます。
 実は、江戸時代の寺子屋の頃をみても、先生は前に立ってはいますが、基本的に四書五経のような教材を暗唱するまで繰り返し読み上げていました。師匠役が大して自分の意見を押し付けるのでもなく、孔子や老子といった教材から生徒一人一人が何を引出すのかを見守っていました。一回読んでもダメです、何度も何度も暗唱する位に繰返して、伝わってくるものを汲取るのです。それが時代を経て、この先生が前、生徒が行儀よく座っているというスタイルだけは残るのですが、その中身が伝わりません。いつしか、先生が自分の解釈を押し付ける、知識という名で押し付けるように変わってしまいました。教えるべき情報量が多くなっていったことも関連があるでしょう。暗記するまで繰り返して、生徒の自発性に委ねるだけ待っていられなくなってきた、ということです。

#2 楽器は人を選ぶ
 仕事が人を選ぶ、というテーマを考える前に、解りやすいと思いますので、「楽器は人を選ぶ」というテーマで少しお話ししてみましょう。
 ピアノやヴァイオリンは、親に勧められて習いに行かされた方も多いでしょう。管楽器は、小学校・中学校でブラスバンドに入ろうとして、希望の楽器を選べた人もいれば、「クラリネットはもう定員」「トランペットはもう定員」と断られて他の楽器に回った人も多いと思います。。 楽器やっていて、スッと簡単に上手くなる人もいれば、なかなか上達できない子もいます。何が違うのでしょうか?一つには、先生でしょう。自分でなかなか考えて適切な判断ができない年代だけに、師匠の存在は絶対的です。先生に恵まれて、指示通りやっても、勘の良い子と悪い子がいます。才能と勘の良さ・頭の良さでしょうか。先生の立場で一番困ることの一つは、悪い楽器をもってレッスンに来る生徒です。楽器が良ければ苦労しなくて済むことが(音程の問題も、音作りの問題も)、不必要に足を引っ張られている状況で、上達が遅れてしまいます。
 「才能と勘の良さ・頭の良さ」と言いましたが、その一つの要素に楽器との相性が強く影響しています。人はやりたい楽器を選んでいる訳ですが、楽器も各々の性格があって、演奏者を選びます。楽器の個性に合った演奏者でないと受け入れないというか、すんなり上達してゆかないものです。
では、各々の楽器の演奏者はどんな性格の人が選ばれているのでしょうか?N響主席Obの茂木大輔氏の「オーケストラ楽器別人間学」(2002年 新潮文庫)、の目次にある各パートの特長を引用してみます。

茂木大輔

フルート:冷たさも軽みもそなえた貴族的エリート
オーボエ:ストレスに苦しみ、くよくよと細かい?
クラリネット:複雑さをひめた万能選手
ファゴット:愛すべき正義派
サクソフォン:一点こだわり型ナルシスト

ホルン:忍耐強い寡黙の人
トランペット:単純明快、やる気満々のエース
トロンボーン:あけっぴろげな酒豪、いつも上機嫌
テューバ:底辺を支える内向派
打楽器:いたずら好きでクールな点的思考者

ヴァイオリン:陰影に富んだユニバーサルの人
ヴィオラ:しぶく、しぶとく「待ち」に強い
チェロ:包容力とバランス感覚にすぐれた、ゆらぎのない人間性
コントラバス:泰然自若、唯我独尊
ハープ:夢見がちな深窓の令嬢

 本書をお読みになると、上記とは少しイメージの異なるものも出てきますが、詳しくは本書に譲る事にしましょう。演奏者自身の肉体も、演奏中は楽器と共鳴していますので、性格も楽器に影響を受けます。楽器が「こいつは相性が良いかどうか」試しているようなものです。こういった楽器がチャレンジしてきている性格・特性に応えられる人・性格でないと、なかなか楽器と蜜月状態を築きあげる事はできない、即ち楽器が人を選んでいるということでした。

#3 仕事は人を選ぶ
 仕事が人を選んでいる面が多分にあります。医学生から医者になる時も典型的でした。各科に求められる個性が異なっています。学生は、一通りすべての科の内容を勉強して、自分が何科をやりたいのかを決心するのですが、中には見誤る人が出てきます。仕事を始めてから「何か違う」「こんなはずじゃなかったのに」となる訳です。
 各科で大体同じような個性の人が揃っているのですね。結果的に各科の仕事・発想に求められる個性が選ばれて残っている、仕事をしている間に求められる発想・個性が身についてくるということです。どうしても、そこになり切れない人が、他科に転科してゆきます。
 逆に、自分の進路を選ぶ際には、どんな個性集団が選ばれて残って行くのかを観てみると、自分はこの個性集団に入っていって居心地が良いのか考えてみると、おのずと判断ができるように思います。医者の世界だと、そうはいっても整形外科など、脊柱や股関節・膝関節やっている人は大雑把な大工感覚の方が多いですが、手の外科専門にしている人は細かく神経質です。このように、更に中で細分化されている集団もあるので、この点は構造把握に注意が必要です。
 こういった傾向は、多くの業界に見られます。異なる点は、自分が入りたいといっても、狭き門になっていることが多く、自分の行きたくない業界・事業領域に入らざるを得ない場合が往々にして存在することです。
 21世紀は、「やりたい事を仕事にする」時代と言われます。やりたくもない事を、渋々やっているようでは追いつかないような、並外れた成果を要求されるからです。自分のやりたい事は何か?そのビジネス領域は自分と本当に相性が良いのか?見誤らないようにしたいと思うと、独善的にならない、社会とのつながりが求められるでしょう。


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プロフィール

scaramouche

Author:scaramouche
I am an Executive coach, Consultant and Negotiator working in Tokyo, Japan. In charge with develop people, leadership management and motivation management, supporting president level, executive level and organization level.
Concurrently a visiting lecturer/researcher in Ohmae Kenichi School of Business.

After earning MD and PhD in medicine, I experienced medical practice as an anesthesiologist and ICU expert followed by scientific research work of molecular biology and molecular genetics. Following academic experiences, I joined to a global pharmaceutical company, and experienced Drug Discovery projects, Biomarker works in global Biomarker group, and Drug Development projects in the global context of drug development. Through my medical and business career, I have shown leadership involving internal and external stakeholders to create the value of projects.

Specialties: MBA (Business strategy, Marketing, and People Development), GLLC Certified Coach, JCA Certified Medical Coach, ABNLP Certified NLP practitioner, JNLPA Certified NLP practitioner, JSNS Certified Negotiation analyst, MD.Sc, PhD (Medical), Faculty Fellow of Pharmaceutical Medicine, Certification by the Training course of Biomedical Ethics and Law (Tokyo University).

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