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2020-04

Vision & missionを忘れると、欲に走りがち

春分/春のお彼岸まであと1週間となってきました。
大分と春らしい陽が感じられるようになり、辺りの梅の花も満開です。皆さま、如何にお過ごしでしょうか。
 今週は改めて冷え込んだ日が続き、患者さんも体調を崩している方が多かったように感じられます。車のフロントガラスにも氷がはっていました。例年を下回る気温と冬に舞い戻った急な冷え込みに、かえって暖かい日が続いていたと理解できます。ひな祭りに続いて啓蟄、と梅も少しずつ開いて春の訪れをじわじわと感じていた頃が、なんとなく昔に思えてしまいます。
 今回は季節感を感じる話題で、旧暦大晦日の行事である節分祭・追儺式の豆撒き光景での雑感を少々書いてみたいと思います。やはり、旧暦大晦日の追儺式が季節感と情緒あふれていて、ストーリーとイベントとしての価値を感じられ、貴重と思います。このような伝統行事こそ、その意味・意義を理解し、残してゆきたいものです。
 京都吉田神社の節分祭・追儺式(2016年)を、YouTube の映像で見てみましょう。
京都吉田神社の節分祭・追儺式
 新暦でも、同じように6月と12月の最後の日には、半年間溜ってきた穢れを落とす大御祓が行われていますが、皆さんも参加されていますか?あの人形の紙に穢れを託してお納めするのと、歌を唱えながら茅の輪を3回くぐる会です。今年の夏越の大祓は6月30日(金)ちょっと参加するのが難しいかも知れません。

 さて、節分祭に話を戻しましょう。旧暦大晦日の行事の中で、節分祭豆まき式(のみ)を実施している神社仏閣は沢山あります。元来、節分祭は新春を迎える神事です。節分とは現代では二月四日の立春の前の日をさします。一年の初めの立春の前の日、つまり大晦日にあたります。一年の「節」は立春、立夏、立秋、立冬の各々前日の4回/年ありますが、行事として力を入れるのは、立春の前日ということになります。
 こういった、「新年を迎える」行事を本格的に催している神社は少なく、大多数は神社でお祓いを受け心身を清めた年男が福男となり福を与える為、 福豆とともに多くの福物を撒き、一年の一陽来復・家内安全・身体安全・除災招福・厄除けなどを祈願する祭礼となっています。
 お蔭で、「福豆・福物を撒く行事」に短絡的に理解されてしまっています。さて、その本来の意義が忘れられた行事の風景には、次のような気になるところが何点か見受けられます。
1) 神社でお祓いを受け心身を清めた年男年女の方々とはいえ、彼らが上から投げる福豆を取り争うのはいささか卑屈に見えてしまいます。
2) 行事・ゲームなので、楽しく出来ないものでしょうか? 自分だけ私利私欲に走ってしまうのではなく、お互いに協力してゲームを創り上げて欲しいものです。
3) ゲットすべきは幸運であり厄除けであって、福豆ではないのです。物欲に走って、我を忘れている姿は如何なものか?
江戸総鎮守 神田明神の豆まき風景です。

# Vision & missionを忘れると、欲に走りがち
 元来は、旧暦大晦日の一連の行事の意義を理解し、その中で豆撒きを位置付けて理解するべきものです。その中で、豆撒き風景だけが取り出され、実施される(庶民に受けがよく、庶民からは神社への期待でもあるのでしょう)と、どうもやるべきことがずれてくるようです。何のために行事を執り行っているのか、一連の行事の意義を理解していないのが最も問題なのでしょう。

 Vision & mission が置き去りにされると、物欲・金欲に走る光景はビジネスでもしばしば見受けられます。企業が存続する社会的な存在意義は、社会への貢献にあります。地域社会への貢献の面もあるでしょうし、国レベル、ないしグローバルレベルで社会貢献している企業もあるでしょう。その社会貢献を忘れ、利益を生みだすことがmission になってしまっている企業は皆さんの周囲にも沢山思い浮かべることができるでしょう。
 企業は、国に税金を納める立場であって、黒字を出してゆかないと存続できませんので、利益を生みだすことが必要です。赤字になったからといって、税金で補填してくれる訳ではありません。とはいっても、会社の存続のためという大義名分のために利益を追い求める姿は、顧客や社会の立場に立つと「一体、何のためのビジネス?」と見えてしまいます。大体、良い仕事は、製品でもサービスでも短期的には利益が上がらないのが世の常です。
 話が横にそれますが、東芝のような企業は軍事的な意味からも倒産させる訳にはいきません。国産半導体も、原発技術も、軍事産業として手放す訳にもいかなければ、技術の漏洩も何が何でも防がないといけません。
イノベーター理論
 Innovator 理論にあてはめて考えてみましょう。イノベーター理論とは、社会学者であるエベレット・M・ロジャースが1962年に提唱した、イノベーションの普及に関する理論です。消費者の商品購入に対する態度をもとに、新しい商品に対する購入の早い順から、社会を構成するメンバーを5つのグループへと分類しています。
ベンチャーで提供するような「これまで世にない」モノやサービスは、イノベーター(改革者=新しいものに真っ先に飛びつく人たち)しか顧客は現れません。彼らは「社会の価値が自分の価値観と相容れないもの」と考えている人たちで、自分の価値観に合った製品・サービスを採用します。図にあるように、製品寿命の約2.5% (概念的な数字ですが)にしか売れない訳です。開発資金がまだ回収できない状況ですね。
 社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感な人たちアーリーアダプター(初期採用者)に受け入れられるようなステージになると、提供する新しいvalue が社会に認められる/受け入れられるようになってきたと言えるのでしょう。宣伝や成果を挙げてきた結果、次のステージに進める事ができた状況になります。彼らは、自分で考えて、判断し、行動できる勇気のある(?) 人たちなのです。換言すると、自分で考え、判断し行動している人は、社会でも10~20% 程度しかいないとも言えるでしょう。
 ですから、良い製品・サービスを世に問うても、直ぐに認められ、受け入れられる訳ではありません。Innovators やEarly adoptersの信頼を得て初めて次のステージに進むことができるのというステップを踏みます。いくら優れた製品でも、社会の信頼を獲得できないと売れないのです。実際に、優れた製品・サービスでも、世間の信頼を得ることなく消えて行ったものがほとんどなのです。詩人宮沢賢治の作品は、生前には「注文の多い料理店」1点しか出版されませんでした。出版社からも断られていたそうです。ゴッホも生前に売れたのは習作1点でした。逆に、ありふれた製品・サービスなのに、人とのつながりでビジネス展開できている企業・個人は、それだけ信頼関係を作り上げてきたともいえるでしょう。
 ベンチャーとは逆の行き方として、既にearly majority に入っている製品の類似品を少し安く売る、という手もあります。もう20年も前の話しになってしまいましたが、96年末に発売され翌97年に大きなブームを巻き起こした携帯型デジタルペット育成ゲーム「たまごっち」。そのブームに便乗する為、いろいろな偽物・類似ゲームがearly majority のステージから参入してきました。「本物の」たまごっちが品薄だった(early majority に対応できる生産体制が構築できていなかった)ため、低品質で低価格の類似ゲームで遊んだ人が多かった、という結果を生みました。

 Early majority に入った製品に時間を割いてしまって、次世代の製品開発のできない中小企業も沢山見受けられます。実際に企業の利益の源泉は、early majority ~ late majority の段階にある製品・サービスです。「注文は断らない」ポリシーの中小企業は多いと思いますが、全部引き受けてしまい、次世代製品への投資を怠っていると、ポートフォリオが薄くなり、現在のドル箱製品が売れなくなると会社も終わりになってしまいます。次世代投資には、R&D や、innovator とのコミュニケーション(今風の言葉では、リーン・スタートアップ)、新しいvalue を世間に受け入れてもらうための広報活動といったものが含まれます。
 いずれも、企業も個人も vision & mission を明確にして、世間の信頼を得てゆくからこそ、次世代を開拓する優れた製品・サービスのvalue が世の中に受け入れられてゆきます。世間は、お金を積み上げていく場所ではなく、信頼を積み上げてゆく場所ということでしょう。

 話を、節分祭・追儺式に戻しましょう。伝統行事なのですから、各々の立場の参加者が、執り行ってゆくに当たり自分の役割を果たして(これが個人の mission です)、いかに質の高い行事を執り行えるかが 祭・式全体のmissionになります。そのためにも、節分祭・追儺式の意義 vision を理解し、共有してゆく必要があるでしょう。豆撒きだけがピックアップされて、メディアでも「福豆」を取り合っている様子がフォーカスされている現状はどうかと思います。とはいっても、庶民の楽しみとして定着していますので否定するものではありませんが、節分祭・追儺式全体像を伝えないでいると、文化そのものが歪んでくるように思えてしまいます。
 今回の話題は如何でしたでしょうか?最後までお読み頂き感謝申し上げます。
皆さまも、良い三連休になりますように。



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10本のバラ vs 15本のバラ

 アップル社の故Steve Jobs氏が、異性の口説き方について名言を残しています。「ライバルが10本のバラを贈ったら、君は15本贈るかい? そう思った時点で君の負けだよ。ライバルが何をしようが関係ない。相手が望むことを見極めるのが肝心なんだ。」
 今回は、このSteve Jobs の言葉に触発されて、KFS, Key Factor for Success について考えてみようと思っています(#1)。
 KFSとして競争優位性を持つには、競争相手に対して頭一つリードできるだけのイノベーションを持っている事が必要です。

皆さんに問い掛けですが、「技術進歩」はイノベーションにつながると思いますか?

 ものづくりの日本のR&Dにおいては、技術進歩こそイノベーションとしばしば誤解されて使っているケースが多いように感じていますが、技術進歩といえども同じ分野・ターゲットに使っている限りはイノベーションにはつながらないと理解しています。そして、毎日のように市場化される新しい製品、サービス、技術。これらは、ほとんどが「進歩」であって「イノベーション」とは言えないと思われます。
 例えば、半導体に関するムーアの法則を皆さん良くご存知と思います。Intelの創始者の一人、技術者のGordon Moore 博士が1965年に提唱した「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則です。大雑把には処理速度を倍にするのに18カ月を要するので、この開発期間で技術進歩を続けて行かないとトップシェアを奪われてしまうということです(#2)。このことは、技術進歩によってもトップシェアは維持できることを示していると言えるでしょう。


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 下に図で示してみます。同じ技術を同じターゲットに用いている場合、新たな結果は期待できません。同じ技術を異なるターゲットに、または異なる技術を同じターゲットに用いた場合に新たな結果が期待できるということを現しています。

田の図


 では、異なる技術、新技術とは何でしょうか?
 技術進歩が既存技術の延長線上にあるのに対して、新技術・イノベーションには既存技術との間に不連続点が存在します。1912年 ヨゼフ・シュンペーターも、イノベーションという現象を特徴づけるのは「非連続的な変化」と、その著書『経済発展の理論』の中で語っています。もう、100年も前に指摘されていたとは、シュンペーターの慧眼には驚きを感じます。
 最初にSteve Jobs の言葉でスタートしましたので、iPhone, iPod を例にとって考えてみましょう。iPod はソニーのウォークマンのように、小型・軽量で薄い携帯型音楽プレーヤーを目指しているだけではありません。ここまでなら、その優れたデザインと共に技術進歩の域をでないと考えられます。しかし、iPod で成し遂げた不連続点は、音楽ソフトの帰属をエンタテーメント会社からApple に移してしまったことにあると言えるでしょう。

 因みに、異なる技術を、異なるターゲットに用いて同じ目的・効果を達成する場合もありうるでしょう。「距離」というコンセプトに対して、空間的距離・時間的距離・精神的距離を考えてみると、それぞれの「距離」を縮める手段には色々な技術と、不連続な技術革新が考えられそうです。異業種参入は、異業種そのものが不連続点を意味しているので、既存技術にとっては脅威になるのではないでしょうか。


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 KFSは、その置かれた環境により変化します。冒頭に挙げた例では、「相手/顧客のニーズが何か」によって、提案が変わってきます。
進化論でご存知のCharles Darwin の言葉『最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である』を借りると、環境が一変した時に、求められる新たなKFSに於いて自らの優位性を発揮できるだけの多様な「引出し」を備えている者が生き残る、とも言えるのではないでしょうか。

変化が加速化され、ますます多様な能力を求められる21世紀において生き残る人財となるには、このように
① 顧客ニーズを理解するために、相手の立場、考え方、価値観で考えられる能力
② 多様なKFSで優位性を保てるだけの「引出し」を普段から培っておく
ことが求められるのでないでしょうか。

 最も、これだけ複雑化したビジネス環境での戦いを求められている時代、一人の戦士が総てを備えることは現実的ではなくなってきています。一人一人の突出した個性から成る「チーム」の中で多様性を確保することが現実的でしょう。そして、チームを機能させるだけの、ファシリテーター・コーディネーター・チームコーチこそが鍵を握っています。次回は、この「チーム」について語ることができればと思います。

【参考】
#1 Key Factor for Success
http://president.jp/articles/-/5352

#2 ムーアの法則
http://e-words.jp/w/E383A0E383BCE382A2E381AEE6B395E58987.html




そろそろ「これまでのものづくり」発想から卒業しませんか

12月5日号の日経ビジネス「スマートシティ3つの落とし穴」に、広東州のスマートシティ市場になかなか入りこめず、勝ち組企業になれない日本企業について分析されていました。
 記事では、「3つの落とし穴」として次のポイントが指摘されています。まず、「リスク回避を優先し乗り遅れが目立つ」として、「走りながら考える」中国のビジネススタイルに合わない点が指摘されています。即ち、日本企業は最初の事業計画・企画に固執するために、リスク回避ばかりが強調されダイナミックな事業提案ができていない、と述べられていました。次に、「スマートシティ=先端エネルギー技術」という固定概念が強く、事業横断的な取り組みが欠けていると指摘されている。第3には、リスクを抑えるために、マスタープランなどの大枠には関与せずに、「スマートグリッドに組み込むスマートメーターやホーム・エネルギー・マネジメント・システムといった単品ビジネスにフォーカスされている」と述べられています。
 スマートシティという大型インフラ構築に関するマスタープランをリードしているのは、IBM、GE、シーメンスといったいわば勝ち組企業であり、日本企業は「スマートグリッド」更にはスマートメーターやその部品といった小さなビジネスにしか取り組めてはいない所が問題、という指摘です。ここに、これまで日本企業が強みとしてきた「ものづくり」、といった概念からパラダイムシフト出来ていない日本人の発想が垣間見られるのではないでしょうか。特に、21世紀の労働集約型から知識集約型へのビジネスモデルの転換がなかなか進まない姿が、世界に周回遅れの結果を招いている様子が鮮明に表れているようです。
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# スマートシティ事業
 現在、スマートシティといった大型インフラ構築マスタープランが、中国を始めとして世界のあちこち進行しています。スマートシティビジネスは「大型インフラ構築」という事業横断的なビジネスで、ビジネスチャンスをbig からgreat に自らの手で拡大してゆける絶好の機会があちこちに転がっている、ということを意味しているでしょう。”Chance favors the prepared minds.(チャンスは準備できている人に微笑む)”と言ったのは、フランスの細菌学者ルイ・パスツールでしたが、そのマスタープランをリードできるだけの心と体制の準備ができていないのが今の日本人ではないでしょうか。少々話しを脱線させて頂きたいのですが、Louis Pasteurの名前は皆さんも小学校~中学校できっと聞かれたことがあると思います。私は pasteurize(v)/pasteurization (n) 「滅菌」という言葉に初めて出会った時、ノーベル賞を始めとして数々のaward があるものの、最大級のaward は個人の名前が「一般動詞/名詞」になることかと深く感銘した覚えがあります。

 更に重要なポイントは、このスマートシティ構想も、住居、商業施設、産業拠点を生みだす大規模な地域開発プロジェクトでありますが、この事業横断的な大規模プロジェクトもあくまで「ヒト・企業・カネ」を世界から呼び込むための手段にすぎないという点でではないでしょうか。
 魅力ある仕組みを作り上げ、世界中から人材と富/投資を呼び込むことにより、更に地域経済の活性化を図ってゆくといった、従来の労働集約型の発想から21世紀の知識集約型へのパラダイムシフトがこれからのビジネスチャンスを生みだし、都市・国家の繁栄を支えてゆくと思います。ここに日本企業の存在感が感じられないところが、世界に「周回遅れ」になっている、と実感させられるところです。
 皆さんのビジネスは、この知識集約型のビジネスでどこにポジションを取って、リーダーシップを発揮できていますか?レッドオーシャンでの消耗戦を戦っていませんか?

 詳しい内容は、日経ビジネスの記事をご一読頂くこととして、ここでは何故我々のパラダイムシフトが進まないのかを考えてみたいと思います。
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# 何故、知識集約型ビジネスに転換できないのか?

 我が国でも「ものづくり」復活をスローガンに掲げているように、「昔見た夢よ、もう一度」と過去のサクセスストーリーに目を向けていて、未来のビジョンに目を向けていない状況が社会でもあちこちに散見されます。
 人間なかなか発想・行動を変えることができないのは、コーチングを行っていても感じますが、その中で次のような特徴のあるクライアントさんに出会ったことがありました。

 まず、「ビジョンとゴール」の区別がつかない方。ここで「ビジョン」の意味は、「なりたい自分」「自分の理想像」位に理解して頂けますでしょうか。言い換えると、「自分のやりたい事が特にない」という方がおられます。会社で働いていて、毎年の達成目標が会社・上司から降りてきて、それをそのままゴールに設定しておられます。仕事に対しても、仕事はお給料をもらうため、生活費を稼ぐため、と割り切っておられて、特にご自身の趣味がある訳でもありません。一つ一つの業務を「やりたい事」と「やらされている事」のどちらか分けてみて下さい、と問い掛けると、ほとんどすべてが「やらされている事」になってしまいます。それでも、「つらい仕事をしているからこそ、お給料がもらえる」という思いで働いておられます。
 これまで、「与えられた目標」については毎年取り組んできたものの、「なりたい自分」「やりたい仕事」なんて考えたことがなかったようでした。

 次のパターンとしては、目標ばかりに目が行ってしまわれる方がおられます。例えば、クライアントさんと彼が苦手としていてうまくコミュニケーションがとれていない方をイメージしてみてください、皆さんの周りにもありそうな構図ですネ。「相手(クライアントさんが苦手としている方)の長所/良い所を5つ」見つけてきてください、という行動を次の週までにとってもらうようお願いすると、「コミュニケーションを取ってきました」「長所を5つ見つけました」とフィードバックされます。そこで、「そのプロセス/コミュニケーションから、どのような事を感じ、何を学ばれましたか」と問い掛けると、真っ白になってしまわれました。
 どうも、ゴールにばかり目が向いてしまって、そのプロセスから学べることにアンテナが立っていないようでした。

 このような行動からも、日本の企業におけるヒエラルキー/ピラミッド組織であったり、「教える」学校教育の姿が「何十年と経っても変わっていない」ことを実感させられます。
 現在の企業を考えても、自分のゴールを自分で設定できる人、チャレンジングな仕事にコミットできる環境におられる方はごく一部なのではないでしょうか。仕事や目標はいつも与えられるもので、自ら考えたり、設定したことがなかったり、仕事のプロセスも定められたマニュアルから出たことのなく、経験値に基づいた人材育成をOJT(On the Job Training)で行ってきたのがピラミッド組織における人材育成でした。

 日本は、これまでの高度成長期、まだ日本が半分新興国・半分先進国であった時代、1$=360円や250円であった時代、ゴールは「前を行く欧米社会」と明確であり、労働集約型のビジネスモデルに特化していました。それが今や、1$=75円、80円と輸出しても儲からない、モノは輸入する環境となり、前を行く欧米企業がなくなって自分の頭でゴールを考え出さないといけない立場になっても、企業の中のピラミッド構造や人材育成の現場は昔のままほとんど変わっていなかったのです。
 時代は変わり、ビジネスモデルは変わっても、それを担う人材の育成は変わっていない、ということが実感できると思います。
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# 正解を教える日本の学校教育の弊害

 学校における教育も同じように感じます。先生が唯一の「正解」を教えて、生徒は先生の言った通りに覚えて、テストでも「先生の言った通り」に答えないと正解と認めてもらえないのが、今も変わらない教育の現場です。社会では、問題は自分で探して、自分で作る/設定するもので、本質的な問題がクリアになると対応策もおのずと明らかになってきます。もちろん、正解は一つではありません。どちらかというと複数の選択肢から一つ選んで、選んだ選択肢にコミットして「正解と言えるレベルまで」作り上げていきます。
 このような指導を大学入試、場合によっては大学卒業時まで受けていると、「正解にヒットする」ことを目標とする条件反射が出来上がってしまうようです。元来、問題を設定して解答するのは「手段」であって、この仮説・検証のプロセスから自然の摂理や法則を学んでゆくことが本来の「目的」です。
 人間、褒められると/承認されると、その行動パターンが強化されるものです。いつしか「正解を言い当てる」ことが目的となってしまい、正解に最短距離でたどりつく行動パターンだけが身についてしまいます。

 90年代前半に、社会・経済が危機的な状況に追い込まれ、教育の構造改革から人材育成にコミットして復活したフィンランドも、かつては日本と同じような教育システムでした。「フィンランド式の教育とコーチング」については、次回改めて述べさせていただくことにしたいと思いますが、現在の日本の学校教育が時代遅れになっていることは皆さん感じておられるでしょう。

 このようにwhat が与えられる/決まっている教育やビジネス環境による人材育成からはなかなか大きな「構想」を作り上げる人材が育たないのではないかと思います。What を自分自身で構築し、how から学ぶ人材育成環境を作り上げてこそ、PDCAサイクル(plan→do→check→action)を自分で実施・検証できる自律型人材が育つのではないでしょうか。
 そして、「過去の経験上に未来のない」今の時代、現在・未来の条件を設定してとるべき行動を決めてゆく自律型人材を育成してこそ、パラダイムシフトにチャレンジしてゆけるのではないかと思います。

 皆さんのチャレンジしてみたいと本気になる時は、どんな時ですか?


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プロフィール

scaramouche

Author:scaramouche
I am an Executive coach, Consultant and Negotiator working in Tokyo, Japan. In charge with develop people, leadership management and motivation management, supporting president level, executive level and organization level.
Concurrently a visiting lecturer/researcher in Ohmae Kenichi School of Business.

After earning MD and PhD in medicine, I experienced medical practice as an anesthesiologist and ICU expert followed by scientific research work of molecular biology and molecular genetics. Following academic experiences, I joined to a global pharmaceutical company, and experienced Drug Discovery projects, Biomarker works in global Biomarker group, and Drug Development projects in the global context of drug development. Through my medical and business career, I have shown leadership involving internal and external stakeholders to create the value of projects.

Specialties: MBA (Business strategy, Marketing, and People Development), GLLC Certified Coach, JCA Certified Medical Coach, ABNLP Certified NLP practitioner, JNLPA Certified NLP practitioner, JSNS Certified Negotiation analyst, MD.Sc, PhD (Medical), Faculty Fellow of Pharmaceutical Medicine, Certification by the Training course of Biomedical Ethics and Law (Tokyo University).

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